シー・ザ・ライト 公演情報 もぴプロジェクト「シー・ザ・ライト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    物語の面白さ、テンポの緩さ
    チラシに「有島武郎に敬意を表して」とあり、彼の作品「生まれ出づる悩み」がこの芝居のベースにあるという。
    極論すれば、人間は生まれた時、すでに死ぬことに向かって生きることになる。そう考えれば、なぜ生まれてくるのか、という疑問が生じる。さて主宰で脚本・演出の下平慶祐 氏は「…生き様の問題なのだ…」として、この芝居を作り上げたと、今どき珍しい 手書き 挨拶文を配付している。

    さて、この舞台セット...暗幕で囲い、その内側(客席以外の三方)に白い板を横向きにブラインドのように組み込んでいる。その雰囲気は、有島武郎(芝居の主人公)の人生末を思わせるようにも感じた。

    ネタバレBOX

    物語は、映画制作に携わる人々が、某映画賞を獲得するまでの人間関係...主人公・斎藤雅樹(前嶋優治サン)の優柔不断、周りの人々の生活、恋愛が絡み、少し切ない思いも描く。
    さて、舞台セットは主人公の高校生時代の教室(机が2つ)と、映画制作事務所(中央に作業台並列・小物、冷蔵庫)の2シーンで構成。相互の場面転換はなく、時間は未来に向かって経過する。そして黒と白というモノトーンが囲む...まるで鯨幕のようである。そこには原作小説家の自死をイメージするような深淵が観てとれる。下平 氏が描きたい(自分の演劇人としての)思いも、この芝居の映画制作人に重ね合わせているようだ。その意味で物語は面白いが、そのテンポ、流れが緩く冗長(飽き)になるシーンもあった。その第一がワンシーズンという設定だとしても、衣装が同じであり時間の経過が感じられない。空気、雰囲気の流れがなく澱んでいる。また役者の沈黙時間が若干長い。その間(ま)は必要かもしれないが、それにしても...。
    全体としては観せたいという“思い”が十分伝わるので、それをどう観客に伝える(観せる)かという工夫をしてほしいところ。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/11/03 16:06

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