家を出た 公演情報 ことのはbox「家を出た」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    格闘している演出と演技【Team葉】
    その場...非現実な関係性の中でどう表現するか、極めて難しい演出・演技だと思う。それに果敢に挑み体現しようと格闘しているようであった。
    その舞台空間はオフホワイトを基調にした浮揚感あるもの。そして物語は回想録でも自伝でもなく、強制的にその場に連れて...いや出現させられた。その形容し難いものを体現する演技...役者は自然体で「その場を表現」しなければならない。
    本公演では、主役は「その場という舞台空間」であり、それを立体し概形するのが役者の役割だと思う。その雰囲気は出ていたが、少し気になるところも...。

    ネタバレBOX

    舞台セットは上手に踊り場のある階段、中央はテーブルを四方から囲むようにソファー、下手は受付カウンター、キッチン(?)。舞台中央奥と上手に通路。そのイメージはシェアハウスのようである。その場は無念の空間(時の経過や天候もあった)であろう。予期しない「死」、これをどのように受け止め、現世への思いを断ち切れるのか。この形容しがたい世界は非現実であり、もはや自己顕示とは無縁の所である。一方、その場にいる(死)人は、まだ現世への未練と残してきた家族や周りに人々が気になる。この一見矛盾した不条理とも思えるような事象の不思議さ。役者たちは脇役の位置に身を退かせ、むしろこの空間が自分達に似つかわしくないという、世界観を丸ごと描き出してほしかった。

    本公演では、”その場の登場人物”は自己主張をし、現世への「未練」と「恨み言」が騒がしいゆえに、その場は現世と来世の挟間で彷徨っている、死しても成仏できないという憐憫が観てとれない。慎ましやかな台詞回しによって、逆に非業(情)な死に対する慟哭のようなものが聞こえるのではないか。

    さらに、”消える”に至った心境の変化が分かり難い。突然に4人が消える、管理人さんが消える、という部分を描くことによって、先の場面がイメージできる。その消える思い...それが何であるか、もしかしたら”その場”が無(消)になる。思いがあるから、その・この場が存在するのであれば、その消える気持を十分伝え(観せ)ることが大切だと思う。

    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2015/10/25 21:35

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大