MAD非正規雇用X 公演情報 岡本塾・ペーチカトライブ「MAD非正規雇用X」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    シュールな...【Bチーム】
    近未来の労働環境における管理社会(形態)のあり方を問うもの。特に雇用形態の弾力化・流動化によって管理層と非管理層の二分化が明確になる社会システムの弊害...現実の社会においても顕在化しているといえるだろう。それは正規雇用か否かという単なる雇用形態だけではなく、貧富差の拡大という「財貨」、同時に働き甲斐・生きがいという「気持」にも影響している。

    近未来...その描き方が突飛な設定のように捉えかねないという遠慮、牽制の意味があるのかもしれないが、観客(少なくとも自分)はラジカルに思う。どのシーンも決して感情的ではなく、醒めたコメディを観ているようだ。国も地域も架空で特定しない寓話風に観せることによって悲惨な現実・現場を想像させない。しかし、ドタバタという騒動の中にしっかり問題提起を行っている。

    この脚本の狙いは十分伝わるが、それを体現する役者陣の演技が弱い。一生懸命であることは分かるが、上辺だけで内面感情が覗けない。演技力のバランスも欠いたようで残念に思った。

    ネタバレBOX

    産業ロボットの出現している現在において、人間の労働力は特定分野にのみ発揮している、という設定である。いわゆる対人間関係を重要視するサービス産業において必要だとしている。各業種に出進している巨大企業「ブラックサバスホールディングス」、その多くは非正規社員で構成されwている。正社員への登用を夢としている姿は、雇用調整を心配する派遣労働者を想起する。
    梗概...主人公・猪狩大は、非正規雇用労働者の勤務環境の改善を本社に訴え、逆に辺境のコンビニエンスストアに左遷される。そこは人口減少により荒廃し、スラム化した砂漠の町であった。そこで「ある計画」について知らされる。それは、全国の非正規雇用労働者たちが一斉にボイコットすること。

    企業名からブラック企業のイメージ。経営トップ(CEO)は責任を負わない、どこかの国の企業体質のようだ。
    この公演で気になる事が...
    第一に、辺境に左遷された時、首枷(鎖)を付けられたが、それは自由を奪う比喩として観ていたが、辺境も管理社会か?また、本社で正規社員(シャイン)となっても、自分で首枷をした理由は何か?
    第二に、交渉人となった主人公の今後である。雇われるより雇う側、管理する側として起業したのか?人の痛みを知った上での交渉人なのか、ラストのイメージは交渉・ネゴシエーションではなく、総会屋・エゴティズムのように感じてしまう。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/10/20 18:29

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