少年オイル 公演情報 創像工房 in front of.「少年オイル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    美術、制作が頑張っている
    近未来、戦争が始まり検閲が般化された時代の話である。

    ネタバレBOX

    が、ちょっと発想が安易。舞台美術はいい線迄行っているし、制作も頑張っていると思うのだが、テトラポッドを擬したオブジェは必要ない。だってとても綺麗な海のイメージを語るのにテトラポッドがあることは不自然だ。それがアイロニーとして用いられている訳でもなければ、劇中で用いられる訳でもないのだから、上手、下手に置く必然性もないのである。
     シナリオも身体性を意識したシナリオとは思えない。演劇は極めて古い媒体である。従って頭が体の一部であることを深く正確に理解していないと、とても大きな間違いをしでかす。実際、優れた文学者、戯曲作家などの中には、医術の知識のある者や、自分の体が弱くて苦労した者が多いことはだれの目にも明らかだろう。チェーホフは医者だったし、F.ラブレーも医術をモンペリエで学んでいる。安部公房は理科Ⅲ類で学んだ。夏目漱石は、胃弱と神経衰弱、芥川も精神を病んだ。斉藤茂吉、森鴎外も医者、ジャンルは異なるが手塚 治も阪大医学部出である。
    まあ、こんな時代で、受験戦争に勝ち抜いてきたのであろうから、医学部と言えば偏差値でしか見ないのかもしれないが、自分の言っているのはそういうことでは、無論ない。役者は、身体を使って表現する。頭でっかちになってはいけない、と言いたいだけである。同時に板の上で演技をしている身体であっても矢張り、現実の日常のリアリティーを用いて鑢をかける必要はあろうということだ。ぶっ飛ぶ為には、ボンクラの抱える程度の不満や鬱屈ではなく、少なくとも一人になれるだけのパワーと独創性は必要である。(つまり、狂気に陥るか自死するかという所迄自分を追い込むのは当たり前だろう。表現する者を選び取るとはそのようなことである。)エリートのつもりなら、最低、この程度の覚悟はしてもらいたい。即ち感情の切なさや安っぽいセンチメンタリズムは大衆に任せた上で、其の因ってくる所を描かなければ恵まれている自分達は世間に顔向けできまい。せめて、この程度のことは考えてほしいのである。申し訳ないが、しょっぱな余りにも陳腐だったので序破急の破の部分居眠りをしてしまった。

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    2015/10/12 02:45

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