硝子の途 公演情報 劇団ヨロタミ「硝子の途」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    重いテーマだが...
    苛めという負の連鎖、それが原因で罪を犯してしまった17歳の青年。心に傷を負った青年が、17年の歳月をかけて心が緩やかに癒され力強く再生する様を家族や周りの人々との関わりを通じて描いた秀作。劇団ヨロタミ第22回公演、第27回池袋演劇祭参加作品。自分が過去に観たヨロタミ公演の中で一番観応えがあった。

    この公演は音楽劇を謳っているが、クラシックの発声でもミュージカルのように、それを主眼に地声で歌ったものでもない。ここでの音楽は市井、日常における喜びや悲しみの感情を歌ったものである。この場面の地声は、個性的で感情表現の幅を広げているが、さらに訴えたい内容をラップで強調する。クラシック発声、ミュージカル発声など、その公演に適した選択が大切であろう。その意味でこの音楽(ラップ含む)の取り入れは、重いテーマの描きとあわせ、前向きに生きるというメッセージを伝えるのに効果的であったと思う。


    ネタバレBOX

    舞台となるのは”喫茶あけみ”であり、その店内は上手に一段高いカウンター、中央奥が出入り口、観客席側にテーブルセット、下手奥にもテーブルセットと本棚(マンガのみか)。他にマガジンラック、テーブルの上にも小物。ほぼ正面にカレンダーがあり、上手壁にはメニューボードが吊るされている。この2つの小道具が暗転するごとに時間の経過を示す。1998年(主人公・沢田卓弥 役 河嶋健太サン 17歳)、2000年(20歳)、2004年(23歳)、2015年(34歳)と...回想シーンはあるが、実に丁寧に状況説明をしている。
    この店内は変わることなく、少し昭和の香りがし、ホッとするような場所。そこでの痛ましい事件(事故)を引き金に、過ちを起こした自分自身のみならず、周囲の人々までも巻き込んでしまう愚かしく怖いこと。被害者、加害者、それに関わった人々の苦しい心情が胸を締め付ける。また苛め、オレオレ詐欺なども絡め、社会性も盛り込む(盛り込み過ぎかも)。

    考えたところは、少年法という法制(年齢)のこと。14歳であれば人を殺しても法が守ってくれる、逆に罰があれば抑止力になるという矛盾の思い込み。当時の少年法に一石を投じる場面であろう。

    心的面として、主人公は罪と向き合い、それを背負いつつ自分の進むべき途を探した。遠洋漁業を経て心的変化...硝子を磨き、透明にして先を見たい、といった台詞は輝く一言であった。2011年の東日本大震災の復興に自身の生きがいを見つけるというラストシーン。その感動シーンは単に感涙させるだけではなく、重苦しい雰囲気を歌で緩衝させ、明日の希望が見えるようだ(27日のラップは韻〔ライム〕が踏めていたようだ)。

    次回公演も楽しみにしております。

    公演は9/25、9/27の2回拝見。2回目は最前列で観させていただいたが、帰り際、坂本直季 氏(主人公の父親 沢田康 役  作・演出も担当)から、冒頭シーン(新聞を逆さにして読んでいる)から緊張したと...自分は見巧者ではありません、悪しからず。

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    2015/09/30 19:23

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  • タッキーさん
    二度もご来場頂き、本当にありがとうございます(T_T)
    かなり深いところまで観て頂けた様で感謝感激しておりまます。
    次回以降もご来場頂けたら、幸いです!(^^)!

    2015/10/02 14:06

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