満足度★★★
劇団の呼吸
蛻皮表演さんは、看板役者である蛸谷さんがいつも突出している印象があるのですが、今回はそう思いませんでした。正直に言って、蛸谷さんが上手な役者さんだとは思わないのですが、そのパッション、キレ、セリフや動きの強弱と切り返し、全てから作・演出の相澤さん(の作品)を理解し、実現することができていると感じるのです。個性の強い劇団さんにとって、「劇団員」とはどれほど重要な存在か、と思わせられます。
その意味で「蛻皮色」に染まっていたのは母親役の方でしょうか。
そして、取り上げて書きたくなるのは今回蛸谷さんとW主演の町屋さん。この人の実力は私も知るところでしたが、なんていうか・・・蛻皮さんのやり方に、溶け込もうとしつつ、まだ溶け込めてはおらず、でも蛸谷さんと呼吸を合わせることで、むしろ蛻皮表演特有のアクと、それを見慣れていないお客さんとの橋渡しになっているような・・・
加えてこの二人は、どんなに強く大きな感情を表現する時も、エンプティな感じがしない。W主演の二人がいるから、このお芝居は説得力を持てるのだと思いました。
脚本的には、70分に収めようとしたからか?少し説明で語る場面が多かったように思います。セリフで言ってしまわない方が、お芝居として面白いのではないかな、と何度か思いました。