OZ♀4♂3 公演情報 チームジャックちゃん「OZ♀4♂3」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ドロシー旅立まで 【道チーム】
    「オズの魔法使い」という有名な童話...ドロシーが旅立つ13年前に遡る物語である。
    大胆な発想と豊かな感受性で紡ぎだす、ファンタジーの世界観は観応えがあった。しかし、そのファンタジーという語感からイメージする浮揚感とは大きく違い、どちらかと言えば重厚な人間ドラマのようであった。
    また舞台美術が素晴らしく、この物語をわかり易く観せる最大の効果を発揮していたと思う。
    上演時間2時間15分(途中休憩なし)。



    ネタバレBOX

    舞台セットは、中央に2階相当の高さまで2並行(繋ぎ)の階段があり、場面によってそれが斜め左右に開く。舞台中央にも出入り口があり、2階部・1階部から役者が出入りする。さらに中央客席側にも舞台の一部を張り出(盆のよう)させ、占い(祈祷)祭壇をイメージさせる。スモークなど幻術・幻想場面の演出を魅せる。

    さて、「オズの魔法使い」原話は、アメリカ・カンザス州に暮らす少女ドロシー(Dorothy)は竜巻に家ごと巻き込まれて、飼い犬のトトと共に不思議な「オズの国」へと飛ばされてしまう。途中で脳の無いカカシ・心の無いブリキの木こり・臆病なライオンと出会い、それぞれの願いを叶えてもらうため「エメラルドの都」にいるという大魔法使いの「オズ」に会いに行く。

    それに先立つ話であり、原話にどう結びつけるか、その物語の構成とそれをしっかり印象付ける演出は見事。さらには、それを体現する役者の演技力も感情移入してしまうほどである。物語の展開はそれほど難しくないが、当日パンフは見開きオールカラーで、人物相関図もあるので、上演前に観ておくのもよいだろう。そして本作でオズは、東の国エメラルドの宰相、同じく宰相(のち南の魔女)、そして東の国の王妃の3人を中心に物語はエメラルド国における権力闘争というファンタジーとはかけ離れた人間臭いドラマになっている。しかしその演出・雰囲気は夢...そのギャップも面白い。

    この団体「チームジャックちゃん」は、多くの人に親しまれてきた童話をベースに大胆な構想と演出で「誰もが知っている物語の見たこともない姿」を描き出す、ことを目指しているという。本公演は本当に原話と連動してループしている、そんな楽しめる作品になっている。

    その描く本質は、壮大なロマン(政治的思惑)の中に、しっかり人間の本質を描き込んでいる。それは綺麗事だけではなく、嫉妬・裏切・羨望などの醜悪な面も見える。それでもその根底にあるのは人間愛である。その結晶として生まれたのがドロシー...彼女の冒険の旅の始まりは、この公演・団体の飛躍の始まりでもあろう。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/09/24 16:35

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