満足度★★★
とても怖い舞台
別役実フェスティバル参加作品、初日に拝見した。
「尼崎連続変死事件より」というサブタイトルがついている。この事件を少しでも知っている人は、この舞台の怖さがさらに深まって襲ってくるという仕掛けである。
内裏びなの首がなく、ひしゃくが差してある。まあ、この舞台装置からして不気味なのだが、「それはそうと、そこに婆さん一人、が死んでいる」というせりふの直後に暗転するなど、別役さんの不条理劇というより、ある意味、ホラーなのである。
それを、百戦錬磨の舞台俳優さんたちが真剣勝負で演じるのだから、相当な迫力だ。
客席は静まりかえり、降り始めた強い雨が文学座アトリエをたたくのが聞こえてきた。