3年G組 公演情報 劇団だるま座「3年G組」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    心に沁みる
    27年ぶりのクラス会は、その年齢が45歳という人生におけるエポックとなるような時期を設定し、それを卒業した富山(とみやま)高校3年G組の教室で行うというシチュエーションも面白い。芝居の中でも、最近はホテル、飲食店で行い、二次会はカラオケというのが多いのに...。しかし、この教室内で行うことに意味があった。

    そして冒頭、文化祭で「シンデレラ」を上演した思い出を語っているが、このシーンがこの芝居の底流にある友情、人間愛に繋がって行くようだ。

    黒板に書いた「頑張れ!中年 我らが青春!」は、当日集まった卒業生それぞれが歩んだそれまでの人生を、本当に喜怒哀楽が鮮明になるような描き方で観応えがあった。



    ネタバレBOX

    人生に向きあう、友情を確かめ合う...という予定調和であるが、そこには27年経ても変わらぬ友情が確かに存在する。45歳という年齢は、仕事、夫婦、子供、親の面倒・介護、や将来に対する思いなどが錯綜する時期であろう。けっして若くもなく、無理も利かない。しかしまだ先のある人生にどう向き合うかも考える、という悩み不安が尽きない。それが当日集まってきた同級生の近況を通して浮き彫りになる。同級生同士で結婚した夫婦の平凡生活に対する自問、実家の店を継ぎ、いまだ独身男性、エリートコースから外れ虚栄する男、そしてやはり同級生同士で結婚したが、うまく営めない夫婦など、個性豊かな人々が時代を生きてきた。その人間くさいドラマに涙する。
    恩師も参加する予定であったが、病のため代わりに娘がテープを聞かせる。この場面は声の出演のみで、その内容が少し教訓のようにも感じた。
    恩師の指示で黒板に数学の問題(1÷1、1×1、5÷1、5÷2、∞×X)が...1の答えは自分自身を意味し、自己を持つ、5はその人間関係の広がり、少数点が出る答えは、余りとし小数点以下(人)を切り捨てない。そして無限の広がりが...。この場面は少し長いが、声のトーン・口調が実に柔らかく、聞き入るようである。

    当日パンフで演出・美術の菊地一浩 氏が「個性豊かな面々。 それは、12色の色鉛筆のよう…」と記しているが、人は一人ひとり違うから、それぞれの力を掛け合わせたほうが面白いものができる。だから18歳の時の「シンデレラ」は記憶にあるのだろう。

    最後に、教室でクラス会を行った理由は、数学担当でありながら音楽も好きで、クラスの歌まで作った担任が、その思い出の品(縦笛)を黒板の後ろの壁に埋め込んでいるため。その笛で合奏...クラスに馴染めなかった男も落涙する感動シーン。
    なお、そのクラスの仲間に溶け込めない男とその子供の確執のような理由は、何だったのだろうか(子供が謝りたい?)。

    実に見事な脚本・演出、そしてキャスト陣がそのキャラクラーになり切り、しっかり色をつけた演技をしていた。

    次回公演も期待しております。

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    2015/09/16 16:51

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