よみ人シラズ 公演情報 ナイスコンプレックス「よみ人シラズ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    知ることで愛せようになるんだなぁ、と思いました
    こちらの団体の役者さんが客演しているお芝居を観て、
    そこから1月の本公演を拝見したのが縁で今回も観劇。

    2時間15分くらい。休憩なし。

    開演前の諸注意の声が機械的だったのも、
    作品の設定に準じたものだったのだと気づいて、いい効果だなと思いました。


    相手が喋ってる時にもう一人が声をかぶせる会話が多く、
    彼らの言わんとしていることはわかりましたが単語として認識しづらかったです。

    テーマがテーマだけに楽しいものではなかったのですけど、
    興味深く観れたし、見せ方も工夫されてて面白かったです。

    ネタバレBOX

    国歌「君が代」がテーマのお芝居ということで、
    最初は緊張気味に観ていたこともあり、
    序盤は誰が「人間の役」で誰が「概念の役」なのかで戸惑いました。

    それがだんだんはっきりしてくる中盤以降には気持ちも落ち着いて、
    特定の人物ではなく概念としての「政治の世界」の描き方、
    「歌に衣を着せる」行為があらわす意味、
    パイプ椅子で作った橋を渡る歌の「披露」など、
    THE・演劇! な鮮やかな表現方法に見とれました。

    役名は、登場人物がほとんど自己紹介をしないので
    最後まで一致しないキャラクターもいましたが、立ち位置はわかりやすかったです。
    (当日配布のパンフレットがすごく助けになりました)


    国歌の是非とかそういう思想的な話ではなく、
    服を着せたり檻に閉じ込めたりするように、
    別の思惑・解釈を加えていくことで
    本来の姿や関係が失われる様子とか、
    それを繰り返すことで土台が失われるのでは、という懸念とか
    「国歌」や「国家」に関すること以外にも言えるなぁ…と思いました。

    「君が代」や「【君が代】が本来向けられていた対象」を擬人化することで
    ストーリーがついていきやすくなっていたし、
    感情移入もしやすくなっているなぁと思いました。


    時代を超えて姿が変わっても「概念」たちは演技の根が変わらずの安定感で、
    それを利用した会議のシーンの時代の飛び方が面白かったです。

    「キミ」役の林野さんの立ち姿とオーラ、衣装の似合いっぷり、
    玉音放送を現代語で語っている際の視線吸引力が素晴らしかったです。

    聾唖の少年「アキラ」の(現実世界での)喋りは、
    前後の様子でだいたい言いたいことわかったのでヤキモキせずに観られました。
    聾の字を上下にわけて
    「耳が聞こえない」ことを「龍の耳を持つ」と表すのはここで初めて見ました。
    オリジナルの言い回しなんでしょか…格好いい表現だなぁ。


    彼が持つ、サポート機械(スマホのアプリ?)の音声についても、
    父親役の森田さんの表情だけでも
    「あ、これお母さんの声なんだ」ってわかるようになってて
    演出、演技力ともにすごいなと思いました。
    森田さんの帝王のような揺らがない様が恐ろしく、目をひきました。


    ぶっちゃけ「さわらぬなんちゃらにたたりなし」という認識で
    特に意味も調べようと思わずに、ただ歌っていた「君が代」。
    (恥ずかしながら「岩音鳴りて」だと、学生の頃は本気で思っていました)
    知るきっかけ、深く知ろうと思うきっかけになって、良かったです。

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    2015/09/14 23:15

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