満足度★★★★
いろいろ考える
この公演は、観ていて胸が締付けられる思いであった。第二の故郷である広島県内で、某高校における日章旗掲揚・君が代斉唱を端に、教師が卒業式前日に自殺した事件(こと)があった。確かこのことが「国旗及び国歌に関する法律」成立のきっかけとなったと思う。
この芝居は、描く内容が観客によって受け止め方が違うであろうことを承知で、それでも敢えて問題提起したと思った。その表れが、タイトル「よみ人シラズ」...実に上手いネーミングである。この公演の素晴らしいと感じたところは、問題の根幹を見据えつつ、しかし直截的に描くことをせず、その思いを観客に委ねたところであろう。確かに主張は垣間見えるが、そこは余韻として受け止めた。