どん底 公演情報 東京演劇アンサンブル「どん底」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    必見の舞台 花五つ星
     最早、古典となったゴーリキイの傑作だが、時代が逆回転している現在の社会状況に於いてここに描かれている世界は、我々の近未来の姿である。
     最近多く見掛ける観客に媚びをうるような安っぽい舞台ではない。作品に真正面から演出も役者も取り組んで格闘して舞台化している。そのことが、透けて見えるので、これぞ、舞台演劇という作品に仕上がっている。(追記2015.9.14多少重複する点あり)

    ネタバレBOX

     「どん底」は、1901年から2年にかけて書かれ、最早古典となったゴーリキーの傑作だが、時代が逆回転している現在の社会状況に於いて、ここに描かれている世界は、我々の近未来の姿である。かつて芥川が「羅生門」を書いて近未来の日本を作品中に描いてしまったように、ゴーリキーの筆は、100年以上後に別の国・時代に生きる我々の、人間性を具体的に否定される姿、即ち貧しさに人間性を破壊される時代とそこで生きるに行きられぬような生を強いられる弱者・民を描いて雄弁である。
     このような雄弁は無論座して獲得できるものではない。原作は世界中で評価される名作であるが、今作の素晴らしさは、当にこれが芝居! という嬉しい驚きが体験できる点にある。こんなことが可能になったのは、シナリオの突きつけてくる深く鋭く重い問い掛けに対し、一人一人の役者は無論のこと、演出家、舞台美術家や照明、音響に至る迄総ての人々が、作品と格闘し真摯に足掻いているからである。答えなど簡単に出るものか! だが、関わった者総てが当事者として関われるような、問いの坩堝と言えるような舞台が現出したのである。この点は、演出を褒めるべきであろう。そして当事者の中には無論、観客も居る。

    1

    2015/09/12 11:43

    0

    0

  • 追記しておきました。本当に素晴らしい舞台をありがとうございました。
                                  長谷川 明(ハンダラ)拝

    2015/09/14 21:34

このページのQRコードです。

拡大