BIRTH ~ペルー日本大使公邸人質事件~【アンケート即日公開】 公演情報 劇団バッコスの祭「BIRTH ~ペルー日本大使公邸人質事件~【アンケート即日公開】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    テーマが...
    「ペルー日本大使公邸人質事件」を題材にした公演...他の劇団でも上演しているが、政治・経済・民族などといった多角的な視点が必要になる。その要素があまり感じられなかった。武装集団(テロリスト)と人質...どちらを主眼に置いていたのだろうか。
    この公演で気になるところが...。

    ネタバレBOX

    1996年12月17日から1997年4月22日(現地時間)までの127日に及ぶ事件を概観しており、今までの公演に比べ、オリジナリティというか大胆な発想の下にある内容ではなかったこと。

    作・演出は森山智仁 氏である。実は、その作家性に魅力を感じていたが、今回は事実取材等を重ねているのであろう。その意味で手堅い...守りの公演というイメージである。自分は、今年この題材を観るのは3公演目である。前方公演墳「もうすぐ、お家に帰ります」(2015年5月」、Trigger Live「祝祭」(2015年7月)である。やはり同じような事実をもとに、またストックホルム症候群をイメージさせる親和性も描く。このチラシのことば...「歪で美しい何かが生まれた。」は物語の進展においては興味を惹くが、逆にその特異性に他の作家同様に目が行ってしまったようだ。
    観客の主義、主張を声高に代弁しても面白くない。

    描き方が、広く満遍ないペルーの国内事情を説明していることから、その不満が表層的になっており、説得力に欠けた(政治・経済・社会問題が重層・錯綜しているが、芝居としては的を絞るほうが解る)。さらに日本の取材姿勢について、一部マスコミの突出した行動に世界的な批判も出ていたと思うが、今回公演でもそれをイメージさせる場面が多々観られた。

    もう一つ、この劇団の魅力はそのアクションにあると思っている。今回も確かにあったが、それはパーティに乱入する時、後日チャビン・デ・ワンタル作戦と呼ばれる制圧時だけである。このラストのセルパ(丹羽隆博さん)落下シーンは見事。しかし、過去には殺陣等、その迫力あるアクションが多く観られたことを思うと、少し残念であった。

    以上が自分の感想であるが...。

    今回、初めて「バッコスの祭」を観たら、その物語(展開)は丁寧で分かり易いし、登場人物はキャラクターを描きこみ、その親しくなる過程を微笑ましく、それ故に悲しくなる結末に心を打たれるだろう。舞台美術...舞台中央を二階部にし、上手から横向階段で上がる。また上手客席側に横長ソファー。全体的に豪奢な造りがイメージできる。そして舞台技術の音響・照明はいつも効果的で見事。

    また、いつも遊び演出があるが、今回はフアナ(金子優子さん 当日パンフに「史実とは異なる架空の人物」との注釈あり)が記念撮影に応じる際に見せるヘン顔、その他にも小ネタはあったかもしれないが。その意味で、劇団カラーを薄めてまで真摯に取り組んだ公演であろう。多くの観客に受け入れられる選択をした好公演である。

    次回公演も楽しみにしております

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    2015/09/07 18:47

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