満足度★★★★
思考停止する怖さ
イプセンがこれを書いた時代と現代日本は、恐ろしいほど共通点がある。だから、この戯曲は今見るととても怖い。「世論」は流され、作られ、道を誤ることがある。そんな世の中で強く生きていくとはどういうことなのか。この舞台では、最後のセリフにそれが象徴されるのだが、3時間の上演の間、お客さんはプロレスリングのような正方形のステージで繰り広げられる物語のこの問題を考えることになる。
問題をなかったことにして隠し、平穏な毎日を続ける。それは原発政策であり、安全保障の問題にも通じるかもしれない。問題を公表すれば職を失う、仲間はずれにされる。。。「まあ、そう事を荒立てずに」という会話は、日常生活でもよくある。思考停止する怖さを、吉祥寺へ感じに行こう。