君原毬子の消息 公演情報 劇26.25団「君原毬子の消息」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    動機
    「歌う映画スター」君原夢子の突然の死の謎を追いつつ、描かれていく家族の裏側。
    天才女優は私生活も奔放で、夫も養子の子どもたちも、人生丸ごと振り回されてきた。
    いびつな家族の内面が次第に明らかになる過程が、サスペンスフルで意外性に富んでいる。
    夢子役のリサリーサさんがはまり役で、華やかさと同時に退廃的な雰囲気が素晴らしい。
    「この世には女と男と女優しかいない」という、その女優の毒がたっぷり味わえる。
    まさに「君原毬子の消息」がカギとなる、このタイトルも秀逸。

    ネタバレBOX

    舞台は横長で正面にベンチ椅子といくつかの椅子、下手に小道具が並んだ棚。
    棚の小道具は、テレビの生放送ドラマが出てきたころのスタジオシーンで使われる。
    上手には庭と池があるという想定。

    冒頭、自宅の池で“歌う映画女優”君原夢子が死に、大騒ぎとなるところから始まる。
    夫英夫(田辺日太)との間に子どもは無く、夫婦は5人の子どもを養子に迎えていた。
    しかし現場に残されていた「M.K」のイニシャルが入ったネックレスに疑問を抱いた刑事は
    夢子が夫の出征中に妊娠、出産した毬子という娘の存在を英夫に告白させる。
    17年前親類に預けたままの毬子が母親を殺しに来たのか…、という衝撃の中
    養子たちの事情が次々と明らかになり、使用人セツ(林佳代)も秘密を抱えていた…。

    よくある、刑事が聞き取りによって次第に犯人を割り出すというパターンではなく
    一家の日常と過去の再現シーンとで次第に観客に解き明かしていく展開が面白い。
    また英夫と長男正巳(長尾長幸)が出演する、テレビドラマの撮影現場を挿入すること、
    そのドラマが、君原夢子の残された家族の物語であること、などから
    一家を見る世間の好奇の目や、演じる英夫の役者としての葛藤などが伝わってくる。

    この“現在と過去”、“現実とドラマ”が交互に描かれる構成が上手い。
    「自分の子どもには何をしてもいい」と言い放つ夢子の身勝手さと
    どうしようもない孤独が浮かび上がる。

    夢子を演じたリサリーサさんの歌唱力と貫禄ある大女優ぶりに魅せられた。
    夫役の田辺日太さん、長男役の長尾長幸さんの繊細でリアルな演技が印象的。
    対称的に養子虹子を演じた梢栄さん、珠子役の犬井のぞみさんの濃い目の演技が
    全体にメリハリをつけてこれもまた強い印象を残した。
    ラスト、ここから本当に残された家族が共に歩み始めるような温かさがあって
    救われた気持ちになった。

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    2015/08/01 00:21

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