見よ、飛行機の高く飛べるを 公演情報 ことのはbox「見よ、飛行機の高く飛べるを」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ことのはbox 旗揚げ公演おめでとうございます
    オリジナル作品を上演する2団体の演出家 酒井菜月(たこ足配線企画)と原田直樹(夏色プリズム)の演劇ユニット”ことのはbox”の旗揚げ公演は成功したと思う。明治44年というまだ封建的風潮がある中で、名古屋の第二女子師範学校を舞台に、教師たちが押し付ける「女性の生き方」を真正面から考えだした女生徒たち…そこで起きた事件が大きな波紋を呼ぶ。公演そのものではないが、気になったことが…

    追記(ネタバレ 2015.6.25)

    ネタバレBOX

    気になったことは、既に承知かもしれないが、校風として掲げた「温順貞淑」の”淑“の字が違うのでは(それとも旧字体か)。

    梗概は、校内では有志による学内報(文学誌?)の発刊を企画するなど、進取精神が溢れ、談話室に花が咲くようだ。そんな折、女子寄宿舎の下働きの息子が寄宿舎に忍び込み、談話室に居た女子学生に社会情勢を話す。そして退散間際に1人の女子生徒に...、後日、その女子生徒が男と2人きりで会っていた。それが理由で放校されることになり、女子生徒たちが抗議行動を計画する。しかし、教師たちの切り崩しにあい、次々と脱落して...。

    舞台セットは、中央には別棟との扉・通路、その横は2階への半折返し階段、上手・下手にはそれぞれ部屋がある。特に下手は談話室になっており、芝居の中心になる場所である。また、衣装や髪型は、当時を思わせる雰囲気を作り出していた。女性教師は着物、女子生徒は袴などを着ていた。また髪型は二百三高地結など、流行の結上げをしていた。

    演技は初日であったことから、緊張もあったのだろう。序盤に噛みや表情がかたい場面があったが、徐々に解れ、中盤(事件)以降は、自分のほうが緊張感をもって観た。女子生徒の思索または憂いのある表情、また明るく快活な姿...そこにはその時代に生きた少女が確かに存在していた。また、男性教師、女性教師の目線や立場がしっかり描かれ、感情移入ができた。公演全体としては、クオリティが高く、観応えがあった。

    なお客席について、ひな壇になっていないことから、後列は観難かったと思う。次回公演時には配慮が必要であろう。

    テーマについて、現在では男女が単独で会っているだけでは処分(退学)にされないと思うが、物語から100年以上経ているが、男女差別は依然として存在しているだろう。
    少し逸れるかもしれないが、公演では(明治)女性の視点で捉えた見方であるが、実は人間としての平等を考えることではないか。男女平等に関する課題は、女性側の視点だけで考えればよいというものではない。性別によって「男だから…、女だから…こうしなければならない」という、潜在的な行動・役割パターンがあると思う。むしろ性による決め付けは、逆に生(息)き苦しさを感じさせると思う。公演を観て、改めて人としての平等とは何かを考えた。

    蛇足であるが、タイトルの”飛行機”は比喩であることは承知しつつ、現在(2015・6)、日本には約5千人いるパイロットのうち、女性は約50人。そのうち機長は4人しかいないそうだ。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/06/17 23:59

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