満足度★★★★★
雨に思案
観劇からおよそ三週間も経ってしまいましたが、感想を書かせて下さい。
「女らしさについて」を始めとする、岸田の評論そのものは、複雑で、難解だったように思います。だからこそ、耳に入ってくる洗練された言葉の端々は「聞きたい、理解したい」と観客に能動的に思わせる、不思議な力を持っていました。
「岸田國士の思案」を観に来たつもりが、いつの間にか自分自身が思案することに導かれている。ラストに出てきたものの意味を折に触れ考えていました。ああそういうことだったのか、と最近ようやく理解した私は鈍いですね(笑)
私たちは思案する、考える、底が浅かろうが、日和見だと批判されようが、思案が例え何にもならなくても、考えることを止めてはならない、改めて強くそう感じました。流されようと思えばいくらでも楽に流されてしまえる時代です。おででこさんがこの作品を上演した意味、伝わりました。
それにしても各々のキャラクターが見事に調和していて、素晴らしい舞台でした。ああしてひとつの空気をつくりあげることこそ、演劇の醍醐味でしょう。
ラストシーンの評論の中に、恐らく「妻の日記」から取ったのでしょうか、日常的な女の台詞が切れ切れに入る場面がありました。それが私にはハッとするほど印象的でした。岸田の思案を支えた当時の女性達の姿が、幻のように遠くに見え、役者さんたちが演じた役だけではない、もっと豊かな人々の姿を感じました。いや、舞台は、無限ですね。
来年もまた楽しみにしています。頑張って下さい。
2015/06/22 09:41
今後の参考にさせて頂きます。
今後とも、おででこの活動に注目頂ければ幸いです。