アドルフに告ぐ 公演情報 KAAT神奈川芸術劇場「アドルフに告ぐ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    アフタートークの日
    手塚治虫原作の舞台作。冒頭の音楽の挿入や光の挿し方など、あら、こまつ座?と勘違いしそうだったが、観終わった直後は原作読後以上の重い引きずられ方をしてカテコのスタオベも出来ず。終演後の和気藹々のATでようやくクールダウン出来た。
    凄い舞台だったなー、としか言葉が出ない。
    役者さん全員よかったが、特に高橋洋さんや成河さんの凄さを再認識。
    休憩込みで約3時間+アフタートーク約30分。

    ネタバレBOX

    出演者5人によるアフタートーク。発言に一部省略やまとめ記述あり。敬称略。

    終演後、5分程度の休憩。ステージ上に椅子5脚準備した時点でアフタートーク司会の松下さん登場。トークショー用の台本をしっかり読み上げながら「こんにちは~。本日は「アドルフに告ぐ」お越しいただいて(だったかな?)ありがとうございます。本日の司会進行、MCのアドルフカミル役、松下洸平です。それではみなさん、お入りくださいい」「噛まずに言えた!(笑)」と自画自賛。
    そしてラストシーンの衣装のまま、マイク持って全員自由に登場。
    下手から松下さん、高橋さん、成河さん、朝海さん、彩吹さん。
    「僕~、ソンちゃん、洋さん~あれ?」と、座席案内するも席順を間違えて誘導する松下さん。「違うよ~、こっちじゃないの~?」とみんなから突っ込まれつつ和やかに着席。

    松下 / 普通(ATに)司会進行の人がいるけど、今日は僕(が司会進行)ですから。このメンバーだから誰も話を止める人がいないので、大人としての秩序を守りつつ節操を保てるよう盛り上がろうと。皆さん気をつけてくださいね。ありがとうー。
    高橋 / いいじゃん止めなくて
    成河 / 盛り上がっていこう!

    ・10回目の舞台公演が終了したが
    松下 / 10回公演終わりましたが、いかがですか?なんか早いですね。あと4回でこの劇場終わりかと思うと、寂しいってみんな話してたんですよね。
    成河 / まだ10回ですか。いや、もう明日で終わりでしょ!残り数えないほうがいいな。
    彩吹 / ノンストップの舞台の中で、私は1人穏やかに過ごさせてもらっているので。みなさん、体力的にも精神的にも大変そうだなぁと。(心中)お察します(笑)
    朝海 / 1日1回が10年分くらいに感じる。長く感じる。物語自体も(上演時間は)3時間の間に何年もかかってて、その重みがズッシリ。だから10回やったって感じがしないですね。
    *ここで、静かにしている松下さんに向かって朝海さん「大丈夫?元気?」と声かけると
    松下 / 僕は結構元気ですよ!ついこの前、幕が開いたばっかりの気分でなんだかあっという間。10回なんてあっという間であと4回で終わるし、寂しいなーと(みんなと)話してる。みんな同じ方向むいてやってて(今回の座組は)家族みたいな良いカンパニー。もうすぐKAAT千秋楽とは寂しいなぁ。
    高橋 / もうすぐ千秋楽か~って、段々寂しい気持ちが芽生えてきているところ(笑)

    ・ステージの立ち位置
    *今回の舞台は数段差ある八百屋舞台。彩吹エヴァは二段目くらいしか下りてない発言に触れ
    彩吹 / (役柄上)下界(ステージ)に降りられない、カテコ(カーテンコール)も降りられない。
    朝海 / 私は下ばっか(にいる)。二段目しか上がってない。
    成河 / 栗山さんの計算だね。

    ・コンタクトレンズ
    成河 /ちょっといいですか?これずっと気になってたんだけど(と、足元の何かを拾う) これ、僕のコンタクトレンズ(と、つまみあげて周囲に見せびらかす行動に客席から驚きの声あがるw) 僕と朝海さんはよくコンタクトレンズを落とす族なんですけど、1回で4枚くらい使う。今まで落とすことはあっても、1回(1日?)で4枚使うのは初めて。今まで2Weekを使ってたけど、朝海さんに勧められて今はワンデーアキュビュー?1日のやつ。あれ使ってます。
    朝海 / もったいないからね!
    *松下さんが話そうとしてる中、落ちてたコンタクトをワザと目に入れようとし、朝海さんに「バイキン!」と止められ、次に口に入れる真似をし、ぺっと吐き出す成河さん。ちょっぴり怒られるも隣り合わせの朝海さんとちょこちょことじゃれ合ってた。
    松下 / そうそう、ゲネか初日かどっちかの時、序盤の幼少時、わたがし食べるシーンで向き合った時に、すでにソンちゃんの目からコンタクトレンズが剥がれ落ちてて、見たらもう二枚落ちてて瞼の下にくっついてるし。(落ちるの)はやっ!と思いましたw ビックリしたもん。
    成河 / ドライアイってのもあるけどライトが眩しいとダメなんですよ。見ちゃうとね。エリザとのシーンとか割と外れる。なので、涙が出てるように見えてもその正体は大体コンタクトレンズですw
    高橋 / 俺もコンタクトレンズつけてるから、泣いてるわけじゃないのにコンタクトレンズのせいで涙が出る時とかある。この前、涙出て泣いてるように見えたかもしれないけど。あれ、コンタクトのせいだからね。

    ・ステージ上の動きで
    *劇中、照明を落とし暗くする場面も多く、そうなると舞台上の役者さんからは暗すぎて階段踏み外しそうで怖くなると。そのため壇上の仕切りのように白いラインが必要になると説明したが、美術と栗山さんが最初大反対したが「いやいや、なきゃ無理!」と話し合い、目立たない範囲でバミったらしい。
    高橋 / 階段が見えなくてドキドキ。俺、段差が見えないんだよね。今日なんかおっとっとって落ちそうになって腕振り回しちゃった →と両手を鳥のようにばたつかせ、それを座ってやってみせる。その姿がまたかわいい。
    成河 / あれ良かったですよ。栗山さんや美術さんは床に印を付けるの嫌がってたけど。
    高橋 / 印なかったら出来ない!

    ・演出の栗山さんについて
    松下 / 演出の栗山さんと今回が初めての人っていますか?→高橋さんと彩吹さんが手を挙げる
    彩吹 / ずっとやりたいと思ってた方。最初、怖いかなって。(会ったら)全然違いましたけど。なんだかすごく細かい指導を受けるのかなぁ、って思っていたら、ヒトラーさんとエヴァのシーンはどちらかというと象徴的だったので、あまり細かく指導されなくて。思ったより厳しくなかったですw 1幕は、こう足をガーと開いたりとか、首をグッとしたりとか「そうくるか~」って感じでした(笑)
    高橋 / 難しい役ですね、と栗山さんに言ったら「ヒトラーってすごく大変だよね、ピカソみたいだよね」って言われたから、俺は台本に『ピカソ』ってメモして、次の日、ピカソの画集を買いに行ったんだけど、あれ絵しか載ってないから意味がなくて(一同爆笑)全然分からなくて。次の日、また栗山さんにそっと聞きに行ったら今度は「岡本太郎だよね」って言われたから俺、台本に『岡本太郎』ってメモして、えっ~?どうすればいいんだ~?と(考えてたら)、そしたら次は「三島由紀夫みたいだよね」って。それで『三島』と書いた。
    彩吹 / メモしてましたねw
    高橋 / 最後には「三島由紀夫の自決だよ」と。(一同爆笑) 偉大な人の名前ばかりで困った。「チャップリンだね」とも言われたので、演技にはチャップリンの要素もいれた。
    成河 / 洋さんのヒトラーには4人のイメージが入ってるんだw
    朝海 / 私は今回で2回目ですが初めての感覚。前作(演出舞台)の『おもいでぽろぽろ』で、今回のアドルフとは雰囲気がまったく違う作品だった。初めて本番と同じように照明を入れた時に、こんな風になるんだ!って驚いたのと同時に、栗山さんは稽古の時から照明や人の動きが全部頭に入ってたんだなあと。休憩中はお菓子パリパリ食べて。
    松下 / お菓子食べながら特保のお茶飲んでるんですよね。
    朝海 / そう。何に気をつけてるのかわからないw。その姿見て、トトロみたいだな~と思ってます。
    成河 / 僕は栗山さんとは今回で3回目で、前回も(脚本の)木内さんと組んで長編をギュッとまとめた作品でこういう冒険心がいる木内さんと組んでて。本人は嫌がるけど、ちょっとカリスマ性あるんですよね。稽古の時、ダメだしタイムになるとみんな栗山さんの周りに一斉に集まるんです、自然と。
    高橋 / 声が小さいんだよw。
    成河 / えぇ~w!?なんか、みんなで同じ方向むいて作ってる感じが良いなと。俳優の力、観客の力、演劇の可能性を信じてる方。
    松下 / 僕は『スリル・ミー』という作品で栗山さんと4年やらせてもらってますけど、今回のアドルフでも『スリル・ミー』っぽいなと思うところが幾つかあって。セットの動き方や照明の使い方が似てて。栗山さんワールドが炸裂してるなあって思いますね。

    ・謎の棒
    *ここで成河さんが舞台セットの意味ありげな棒が気になってたらしく
    成河 / そういえば!この棒って光るの?誰かから聞いたんですけど、この棒光るらしいんですが、そうなのですか?→と客席に問いかけ、「光るよ!」とその棒と奥の棒を指差す観客達。
    高橋 / っていうか、この棒ってなんであるの?なんなの?
    成河 他 / なに?照明に反射して光るの?なんで光るの?2本ある?どこに?あ、あっち?どういう意味なの?何のための棒なんですかね~。僕たちわかんない! 私たち見えないので、二度と確認できないですね。
    高橋 / ビデオ見ないと分からないね、(棒の存在は)ピカソだと思う。
    *棒が光ることに一斉にざわつく出演者w なぜ光るのか不明だが、舞台上のキャストからは見えないらしい。また、成河さんは稽古場で、最後の憲兵を追い詰めるシーンで「(斎藤)直樹さんと2人で棒を思いっきり倒した」そう。

    ・好きな台詞
    松下 / (客席に向かって)舞台2回以上見ている方~? →自分の座席は1階後方席だったが、かなりのお客さんが挙手されてた。
    松下 / わー、ありがとうございます。(内容が内容だけに、この舞台見るの)大変でしょう。みなさん(出演者に向かって)劇中の好きな台詞とかってありますか。
    彩吹 /『ええ』→この答えに一同「え??」
    彩吹 / エヴァって、限られた台詞の中で『ええ』とか短いけど、ヒトラーに対して肯定する台詞が多いんです。『ええ』って二文字だけで全部受け止めるのってすごいなあって。その『ええ!』が、好きだったり工夫したりする。
    *ここでゲップする成河さん。松下さんに怒られる。そして椅子にあぐらをかく。自由人。笑ってやり過ごす周囲。
    高橋 /『甘い!』好きだよ。 カウフマン少年がわたあめ食べて『甘い!』って言うの、よくあんな高い声でるよね。
    成河 / 『甘い!』ね!序盤の、カウフマンがわたがし食べて言う台詞。栗山さんがこだわってた。僕、基本放ったらかしだったんですけど、この台詞はこだわりがあって『甘い!』だけはすっごく指導を受けて何度もやり直した!あの時代って「甘さ」に飢えてるから、そういうのを一言で表現しないといけないって、ほんとに甘く感じるようにとかなりこだわっていたので。毎日やりました、甘い物や人との絆が少ない時代の中での感動を凝縮w。
    高橋 / 俺は谷田(本多大佐)の『聞け!芳男!』が好き。すっごい好きw あれ聞くと(吉田)鋼太郎さん思い出す wって言うと、たまにトーン変わっちゃうんですけどw →洋さんの「谷田」「鋼太郎さん」の名前がサラッと出てちょっとうるっときた。

    朝海 / 三重子さんの『自由ですか?』って台詞も、あの「自由」に飢えてる時代だからこそ活かさないといけない台詞だなあって思う。
    松下 / 僕は『チークで良いの!』が好き。
    朝海 / 逆ギレみたいになってるけどねw。
    高橋 / こういうのって言われると意識して演技が変わっちゃわない?
    朝海 / そういえば前にも好きって言われたの。今まで忘れてた、聞いたら意識しちゃう。
    成河 / 僕もママのセリフが好き~。
    *一斉に由季江ママ注目されて、照れて耳を塞ぐ朝海さん。それを見て成河が一言「かわいい♡」
    成河 / あの爆弾がヒューヒューバーンって落ちてきて、ママが一人で受けるところ。あそこ最初は台本になくて稽古で追加されたシーンなんだよね。最初は峠さんが店の方を見に行ってすぐ戻って来ちゃう場面だったんだけど、その間に何か欲しいねって追加になった。あれは原作にあるんですか?
    朝海 / 空爆シーンで由季江が『私は、死なない。三人の家族で生き抜く。死んでたまるもんですか』って原作にはないセリフ。稽古の序盤ではなかった。あれは木内さんの創作。台本上は何もなかったが稽古中に入れた。栗山さんと一緒に相談して追加になった。凄いよね~。
    成河 / 僕、それを稽古中に聞いてすごく泣けちゃいました。木内さんのオリジナルなんですね。

    ・最後に一言
    松下 / あれ、もう時間ないんですって。(終了)時間のキューが出てしまいましたので、御客様にコメントをひとこと。→全員、一斉に袖を覗く。
    彩吹 / 今日は本当にありがとうございます。原作は手塚治虫さんの漫画ですが、原作は70年前の話、みなさんにメッセージを伝えるためだと~(思っている)。息遣いを感じに、あと4回見に来てください。
    朝海 / 命を削ってやっているので生存確認をしに見に来てください。ありがとうございました。
    高橋 / 今日はアフタートークがあるからこんなに和やかになってるけど、普段だったら終わって重い気分になって帰ってもらってると思います。たまにはこんなカタイ舞台を見て、重い気分になってください。(「またお誘いあわせの上、お越しください~」とか、言っていたような気がする。)
    松下 / 僕自身も演っている中で『知ること』が大切だなぁと思ったので、色々なことを『知りたい』と思うきっかけになって欲しいです。…あれ、今日の二階席なんか若くない!?
    →みんなで2階席を見上げ、客席と手を振り合う。
    松下 / ぼく、28歳なんですけど。僕より若い世代にこうやって観に来て考えてほしい、色々。いや、年上のひとも、ですけど。若い世代のかたにも、上の人にも見に来てほしい。知ることが大切。何かを知って何かが変わることがあるかと。手塚さんの作品を通して知って(知ることができて)僕も嬉しい。
    成河 / 今日はありがとう。台本作りも苦労して。木内さん栗山さんが時間かけて作り上げた(脚)本。最初はどういう風に(仕上がるか)なるか、幕が上がるまでみんなの反応を見るしかなかった。栗山さんは『劇場は思考する場所』だと言っていて、客席からもそう感じる。こんなに役者からも客席からも『思考している』とヒシヒシ感じる舞台はないです。僕の世代や、もっと下の世代って知らなくてよいことは調べない。自分の知らないこととの付き合い方が下手なんですよね。僕はお客さんも演出も信じてる。知りたいから舞台も観る。興味のあることにはのめり込むけど、知らないことは知らないままで終わる。調べようと思えば、調べられる環境の中にいるにも関わらず。とにかく、考えてほしい、知ろうとする事、考える事、理解をする事、共有することが大事。自分にも言い聞かせてるんですけど『考えさせられる』って言い方するとすごく安っぽく聞こえるけれど、みんなで考えてまとまって作り上げていく感じがすごく良いな、と感じさせてもらっています。あと4回ありますので、是非また来てください。今日はありがとう。→書き方がまとまってないが、だいたいこんな感じの発言。

    ハケる際、両手を鳥のようにばたつかせながら、段差をピョンと降りながら一人ずつ笑顔で退場。

    以上、書きおこし終了。

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    2015/06/12 00:37

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