マインドファクトリー~丸める者たち~ 公演情報 かわいいコンビニ店員 飯田さん「マインドファクトリー~丸める者たち~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    嫌悪感がするが、芝居は凄い!
    かわいい劇団名とは違う、嫌悪感のする内容である。観客の受け取り方に違いがあるだろうが、それだけ芝居...自分は演出・演技に見応えを感じた。
    この芝居から感じるのは、いろいろな柵(しがらみ)、閉塞感から脱却したく、もがく若者がいるという印象である。
    この公演の目を背けたくなるような迫力、圧迫感は半端ではない(芝居としては好意的な意味)。

    少し気になる所もあるが...。

    ネタバレBOX

    弱小野球部から強豪校へ変貌してきた、地方の高校野球部が舞台。劇団主宰の池内風 氏の実話のようにも思える。この地方、ナレーションでは人口5,000人程の町で、その希望、誇りがこの高校野球部(存在)である。この強豪校へ育て上げた監督(永田祐一郎役=山森信太郎さん)の嫌らしさが鼻に付く。球児達を力で押さえつけ、屁理屈のような理論を言い、なぜか説得力、納得性ある言葉に聞こえるから不思議である。それだけ台詞が立っているのだろう。この監督の悪辣感ある演技がこの公演の見所の一つといっても過言ではないと思う。まさしく、”ハマッテ”いた。

    舞台セットは、野球ネット(もっと粗い)サークル(2m以上の高衝立)のようなものを可動させ、その組み合わせで状況設定をイメージさせる。いわゆる薄暗い中での場面転換をする。その都度、キャストが力仕事をする。この場面転換が頻繁に行われ、始めのうちは違和感を持った。公演全体を通してこのスタイルは続くが、段々と芝居の迫力・強烈さに押され、自然と見入るようになった。

    キャストの球児達は全員が坊主頭になっており、役作りへの姿勢も素晴らしい。この監督の理不尽に向かう純粋さと若さゆえの懊悩を上手く表現していた。それも球児達の家庭環境、置かれている立場も絡めながら、丁寧に描いており、キャストはその意を十分現していた。

    地域、学校、家族、仲間...その狭い繋がりの中で、それぞれが持つ、または持たされる期待と誇りが当人達をジワッと追い詰めていく。このまとわりつくような嫌悪感、閉塞感が、実際ありそうで、それが表面化しないだけ。そのような危うい問題を内包しているようで、実に上手いシチュエーションである。

    先に記載した気になる点...途中で挿入された、”鶏の場面”は何を意味しているのは分からなかった。弱い物(者)苛めのイメージか。
    もう一つは、薄暗い中での場面転換が多いこと。状況設定のための場面作りは分かるが、その状況はセットを動かさなくてもイメージができる。それよりも物語の流れやテンポの良さを優先して観せたほうが、という思いである。

    公式の2時間20分を越えていたと思うが、最後まで迫力・緊張をもって駆け抜け、その長さが気にならなかった。実に見事であった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/06/10 23:09

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