ゴベリンドン 公演情報 おぼんろ「ゴベリンドン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    今作の特徴
     朧の現在迄の最高傑作との評価が高い今作だが、メンバー5人の個性表出、身体表現上の特徴・特性の活かし方に於いても出色の出来であることは間違いない。思えば、今作の初演が朧の名を一躍有名にしたのである。廃工場を会場にした公演は、日本では驚くべき効果を齎した。自分は初演を観た時、フランスの映画監督、脚本家のレオス・カラックスのテイストを思い出した程である。(追記後送)

    ネタバレBOX


     実際、今作のテキストは、良かれと思って為したこと、選んだこと自身、非難されるべきではない人間的行為・選択が、否応も無く取り返しようのない結果を産んでしまうことをテーマとしている。その悲劇の本となった人間的行為は、愛であり、取り返しのつかない結果は宿命と言っても運命と名付けても構わぬ。だが、気付かないだろうか? このような劇的構造こそ、ギリシャ悲劇の傑作を特徴づけるものであることに。
     前半部のファンタスティックで幼児的とでも評したくなるような、甘いテイストは、中・後半へのプレリュードを為し、その終盤部で明らかになるように対比を為している。即ち、序盤の甘さと中盤から終盤迄の苦さは、シナリオ自体が対比構造を為すことによって相互に反芻し合い深め合う相乗効果を観客に齎す仕組みになっているのだ。この点も傑作を特徴づける大切な要素である。

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    2015/06/06 15:34

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