セーラー服とブルーシート 公演情報 TOKYOハンバーグ「セーラー服とブルーシート」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    メッセージ性が…(ゲネプロ拝見)
    とても強い公演である。
    セーラー服とブルーシー(青い海)と...のような副題のようでもあった。もちろん女子高内で起こる或る出来事をめぐる話が中心であることには変わりない。一方、その高校や住んでいる環境は、海岸開発が進み、昔のように泳げる海ではなくなった。人も環境も何らかの契機があれば変化していく。それは否応なしにである。

    *ネタバレ注意

    ネタバレBOX

    舞台セットはシンプルで、劇場入り口側にひな壇客席、そしてほぼ素舞台で左右にスタッキングチェアが5脚ずつと舞台中央に1つ。奥壁面に縦に赤い紐(?)も数本と鎖が下がっている。その広く確保した空間での劇は、演出担当の大西弘記 氏の丁寧な演出スタイルが見てとれる。
    出だしは、女子高生や教師が一列に、同方向へ行進するような単調な歩み。そのうち、一人二人と左右の椅子に座りだす。その生徒・教師が交錯する様はこれからの出来事の進展を暗示するかのようだ。その単調であるが、それゆえに見える普遍的な人間の心理。この公演ではその深淵が浮かび上がる。

    さて、物語は女子高の部活のコーチによるセクハラ...性犯罪に端を発した出来事。そのコーチを放火で殺害した女生徒達と学校側(教頭、顧問、副顧問、殺害されたコーチの甥...理事長の息子で将来の理事長)による真実を明らかにするというサスペンス&ミステリーのような内容は観応えがあった。
    その否応なしの状況に立たされた時の錬られた会話...「殺人を犯してならないのは何故」「戦争殺人は許されるのか」という個人と国家の行為の比較論議...その理屈・論理のすり替え、そして生徒と教師の立場の逆転が面白い。そして主張したい世界観は青い海のようにきれいになっていくのだろうか。

    一瞬、女子生徒の主張が通り、学校側も事件真相を明らかにしない(警察は事故死の方向)。しかし、最終的には、”良心の呵責にたえきれず”のようになり、ブルーシートに隠され連行される。
    場面の中で、女子生徒が自殺を図るシーンがあり、それをイメージする血管(血)と閉塞感が奥壁の赤い紐や鎖に現れているような気もした。

    この2団体のコラボは初めてだというが、出演しているB.LET’Sの永島広美さん、土田有希さんは、2014年7月新宿サンモールスタジオでの「愛、あるいは哀、それは相」に出演していたので、演技的には馴染みがあるだろう。
    いずれにしても、この合同企画はそれぞれの持ち味が出ており、成功したと思う。

    実に観応えのある公演(ゲネプロ)であった。

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    2015/05/28 00:05

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