満足度★★★
スピンオフ作品の態
「嵐が丘」は、私の少女時代の恋愛バイブルでした。
こんな壮絶な、恋愛に心底憧れていたもので、大学生になるまで、恋人はできず仕舞い。
だから、このキャスティングが発表された時、小躍りして、観劇日を楽しみにしていました。
でも、拝見したところ、この「嵐が丘」の世界は、私の中に構築されていた激しい恋愛事情は、軽くあしらわれ、むしろ、キャサリンとヒースクリフに翻弄される、周囲の哀れな人間達に主軸を置いた、スピンオフ作品のような雰囲気でした。
演劇手法としては、面白いし、各人の後半の長台詞の競演は、演劇としての醍醐味に満ちていましたが、「嵐が丘」ファンとしては、やや不満の多い劇後感だったかもしれません。
戸田恵子さんの好演が、舞台の出来映えにずいぶん貢献したように思います。
それにしても、いつも、さすがの演技のソニンさん、初舞台から、常に、輝いて舞台に立てる堀北真希さんの、映像畑の女優さんとは思えない、持って生まれた鬼才振りには、感嘆のため息が出てしまいました。
昔、劇団四季が、世界名作全集舞台化的な上演を頻発していた時期がありましたが、堀北さん主演で、また他の名作舞台も、是非拝見したいなと、期待に胸が膨らみました。