嵐が丘 公演情報 松竹「嵐が丘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    スピンオフ作品の態
    「嵐が丘」は、私の少女時代の恋愛バイブルでした。

    こんな壮絶な、恋愛に心底憧れていたもので、大学生になるまで、恋人はできず仕舞い。

    だから、このキャスティングが発表された時、小躍りして、観劇日を楽しみにしていました。

    でも、拝見したところ、この「嵐が丘」の世界は、私の中に構築されていた激しい恋愛事情は、軽くあしらわれ、むしろ、キャサリンとヒースクリフに翻弄される、周囲の哀れな人間達に主軸を置いた、スピンオフ作品のような雰囲気でした。

    演劇手法としては、面白いし、各人の後半の長台詞の競演は、演劇としての醍醐味に満ちていましたが、「嵐が丘」ファンとしては、やや不満の多い劇後感だったかもしれません。

    戸田恵子さんの好演が、舞台の出来映えにずいぶん貢献したように思います。

    それにしても、いつも、さすがの演技のソニンさん、初舞台から、常に、輝いて舞台に立てる堀北真希さんの、映像畑の女優さんとは思えない、持って生まれた鬼才振りには、感嘆のため息が出てしまいました。

    昔、劇団四季が、世界名作全集舞台化的な上演を頻発していた時期がありましたが、堀北さん主演で、また他の名作舞台も、是非拝見したいなと、期待に胸が膨らみました。

    ネタバレBOX

    たぶん、原作を知らない人には、この作品の主役が、キャサリンとヒースクリフとは受け取れないのではと思うほど、二人の存在感が希薄でした。

    原作では、この二人の、言葉では説明できないような、激しい愛憎の顛末が、丁寧に描かれているので、二人の心の深淵を追体験できるのですが、G2さん演出脚本の本舞台は、二人の人生の顛末を、家政婦のネリーが、語る形を取るため、劇中で繰り広げられるストーリーは、常に、ネリーの回想劇の形で進行します。そして、更に、その中で、また別の登場人物達の心の吐露を、ネリーが聞き語りをする、二重構造、三重構造になっています。

    たぶん、そのせいで、主役である筈の二人の心の対峙場面が、極端に少なくて、観客には、二人の心の変遷や、複雑な愛憎心理を理解させにくくしたのではと感じました。

    むしろ、二人の娘と息子が、後年、心を通わせ、やがて結婚する件の、若い二人の心情変化の方が丁寧に描かれていた印象が残りました。

    キャサリンとヒースクリフの、幼少時代の演技を、遠見で、子役が演じ、舞台前方で、堀北さんと山本さんが演じるという手法は、演劇としての斬新な演出として、成功していたと思います。

    もう少し、ブラッシュアップしたら、奥が深いものになるような気がしました。

    0

    2015/05/27 14:17

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大