かべぎわのカレンダリオ 公演情報 バンタムクラスステージ「かべぎわのカレンダリオ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    あなたはA⇒B派?僕はB⇒A派(観劇順です)
    Bに引き続きA「マレーネの晩秋」観劇。

    フライヤーか何かに載ってて気づいたんですが、
    A110分、B70分だったんですね。

    作品自体もゲームで言えば
    Aが本編、Bはファンディスク的なものと感じました。


    で、観る順。
    (自分はB⇒A順だったので想像ですが)

    A⇒Bが本来正しい観賞順(#1、#2ですし)
    (A本編を見て、気に入ったらBであの人達のその後、を更に楽しむ形)

    B⇒Aは本来邪道なのでしょうが、自分はこれが逆に効きました。

    Bで表の顔と少しだけ裏の顔を眺めた人物達について、
    Aで知らなかった事実(伏線的な要素)を
    どんどん驚きながら回収していくという。

    だから「A⇒B⇒A」って言ってたんだな、あの人。
    (両方の楽しみ方が出来るから)。

    ※ 「かべぎわのカレンダリオ」で絶対にやっちゃいけない観劇方法。
      Bだけ観て「こんなものか」と判断してAを観ない。

      Aを観て同じ判断を下すのは仕方ないですが、
      Bはあくまでファンディスク、
      本編Aを観ないと観劇者として「完全燃焼」出来ず、
      「かべぎわのカレンダリオ」の面白さとカッコ良さ、
      作/演出の観せたかったものが正しく伝わらず、
      正当な評価が出来ないんじゃないかしら。


    で、感想。
    A「マレーネの晩秋」はBとは打って変わって
    光と闇、表と裏の世界が交互に映し出される
    かなりシリアス、ハードボイルド(?)寄りな世界。

    (ネタバレは避けるとして)
    メイン役から脇役までしっかりとした背景と感情の機微が
    設定/表現されている、
    非常に細やかさを感じさせる脚本/演出、
    そして何より各人の演技
    (特に大人でダークなカッコ良さの表現)が素晴らしい。

    メイン役はもちろんサイドの方の思わぬ一言や行動に
    漢(おとこ)と女、それぞれの美学が込められている、
    とても豪華なハードボイルド世界でした。
    (ある意味古き良き時代のルパン三世も入ってるんですよね( ´ー`))


    で、裏世界(マフィアの世界)から表世界(映画館スタッフと観客達)からの
    切り替わり、起伏と緩急のバランスが見事で
    恐ろしいほどの緊迫感を味わった後に、
    ほどよいゆるさで笑わせてくれる、
    かなり観客の「感情操作」が上手な舞台でした。


    ※ ただ、シアターKASSAIの前席のパイプ椅子。
      2劇続けて観劇したらどんどんどんどん
      お尻が痛くなってきてまいりました。
      しかも椅子の足がゆがんでいるのか
      ちゃんと固定されておらず、
      体重移動させると音が鳴ってしまって・・・
      (座布団しくなど工夫はしてくれていたのですが)

    ネタバレBOX

    【思った事】
    ほとんど感想は表に書いてしまいましたが、

    ※ ちなみにカレンダー(カレンダリオ)は
      主役の殺し屋兼映画館の会計士の名前です。
      感想書いてて「こりゃ観てない人は意味分かんないな」と思ったので説明おば。


    ・ 「かべぎわのカレンダリオ」という言葉の意味が分かりました。
      かっけー、ハードボイルド小説の主人公って感じですわ( ´ー`)


    ・ この舞台(A、B)は、単に映画館での出来事ではなく、
      「映画」というものを物語の重要なキーワードとして使っている。

      ・ マレーネがカレンダーに好意(「おじさま」としての)を持つのも「映画」つながり。

      ・ 引退したマフィアボスの「映画」にかけた想い。
        そして、カレンダーが「映画」に詳しくなった理由。

      ・ マフィア兄の妹との真実のつながりを示す父の「映画」。

      ・ 神父の「何故あの娘(マレーネ)を殺さない?」の問いに対する
        カレンダーの答え。

      なんか、趣味「映画」ってだけでカッコ良く思えてしまいそうです( ´ー`)


    ・ 思わぬ裏設定(事実)
      ※ 多すぎるので覚えているものをいくつか

      ・ 映画技師と見習いはカレンダーが殺し屋である事を知って、
        なおかつ殺した死体の処理に手を貸していた(ちょっと怖い・・・)。

      ・ あの口うるさいだけのマネージャー(?)が
        マレーネの父(元マフィアボス)に娘の警護も
        任されたマフィア(?)だった。


    ・ 「ボス」と呼ばせた男が生み出す舞台上の緊張感がすごい。
      映画館の温かみのある場面を一転して
      マフィア達の恐ろしい世界に変えてしまう
      あの力に溢れた演技は素晴らしい。
      (そしてそれを途中退場させてしまう脚本がすごい、「アッ!」と驚く。)


    ・ 同時に映画館場面でほのぼの、笑える空気を作ってくれる
      各映画館スタッフ陣とぽっちゃりの観客さんのやりとりが素晴らしい。


    ・ カレンダーが「映画に詳しい殺し屋カレンダー」になるまでの過去が深い。


    ・ マフィア兄の、妾の子としての母親の死への復讐に始まり、
      カレンダーの過去から自分と重なるものを見出し、
      カレンダーの心を掌握しようとする行動。
      そして、父達が作った「映画」を観ることで
      義理の妹と自分との関係に対して生まれる葛藤の表現が演技含め見事。


    ・ (名前分かるので出します、「サイショさん」)
      単なる「ボス」の手下に始まり、
      かつて自分が子犬の件などでマフィア兄と
      非常に親しくしていた事を思い出し、仕える事を決意する。

      そして物語最後、映画館の抵当権書類をマレーネに渡し、
      マフィア兄の近況と
      「カレンダーはきっと戻ってくる」と予言して去っていく、
      マフィア手下はテライケメン( ´ー`)


    ・ マフィアから足を洗い、酒と映画の毎日を過ごす
      元マフィアボスに少々愛想をつかし、
      その上元マフィアボスの(かつてのマフィアとしての)
      面影を見た事からマフィア兄に協力する殺し屋「ピアス」。


    その他多くの役がみんながみんな
    ハードボイルド的(?)に「かっこいい」存在でした。


    ? 分からなかったのは、
      カレンダーが元の人格「ダンテ」だった頃、
      妹を亡くした事を何故元マフィアボスのせい、として恨んでいたか。
      (結局助からなかった、とかそういう事じゃなかったんですかね、
      直接的に元マフィアボスの何か悪の手が伸びたんですかね。)

      そして何故その記憶を失ったか。


    バンタムクラスステージさんをコメフェスで初めて観た時、
    「僕らの本来のスタイルは結構シリアス目な作品なんですよね」
    と言っていたのですが、
    その意味/劇団の本来の作風が非常に良く分かる良作でした。

    ただ、観劇順情報は欲しかったなあ。
    (Bだけ観て帰る、をやってしまう可能性があったので・・・)

    PS.他の方の感想を読んでいて「ああっ!」と驚いてしまいました。
      AとBって同時間軸内の物語だったんですね。
      どうりで「同じ芝居」が入ってる訳だ。。。

      自分はてっきり、Aが終わった後戻ってきたカレンダー達の日常が
      Bだとばかり思ってました。。。まだまだ観劇眼が足りないなあ(´;ω;`)

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    2015/05/24 19:25

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