シャープさんフラットさん 公演情報 ナイロン100℃「シャープさんフラットさん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    【ホワイト】苦悩が閉ざされた場所。
    否応なく作家当人の思わせる半自伝的な物語だ。
    本当であるか嘘であるかということは抜きにして、目を離さずにはいられない。

    最近、作り手の苦悩を見せる作品に、触れる機会が多い気がする。
    その中でも、随分深々と潜り込んだ作品であるようだ。

    キャスト・スタッフの仕事に非の打ち所はない。
    これだけのクオリティで出されたからには、背筋を伸ばして観るだけだ。
    2時間40分の覚悟を持って観に行かれたし。

    この悲喜劇は、簡単なカタルシスの方向に行くことを許さない。
    どこか物語から放り出されるようなラストに、呆然としてしまった。
    (たぶん、3時間くらいを想定していたからだと思う……)

    ブラックも観劇します。

    ネタバレBOX

    どこか鉛のような重さを考察すべく、前作『わが闇』と比べてみる。
    『わが闇』は、井戸に潜っていくような深さを感じながら、最後に明るさが見えた。
    対して、『♯さん♭さん』は、そんなに潜る感覚はない。
    だが、ちっとも浮かび上がる気配が無く、夜の海の底にいるようだ。
    半自伝的物語というつくりがそうさせるのだろうか。
    そういう意味では、こちらの方がよっぽど闇を抱えているように感じるのだ。

    サナトリウムという場所もそういう空気を作らせている。
    どうしてサナトリウムと感じもしたが、意外なコントラストが興味深かった。

    三宅弘城は、緩急で観る側を震わせる。実に憐れで素晴らしかった。

    さらに特筆すべきは、新谷真弓の役所ではないかと思う。
    三宅との緩と急とのバランスは、実に見応えがあり。
    不幸な雰囲気の役柄をやると、上品な色気すらある。新たな発見だった。

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    2008/09/23 20:57

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