満足度★★★★
地味ながら沁みるストーリー
窃盗の罪で海軍士官学校を退学になった息子の無実を信じ、
名誉を回復させようと闘った家族の物語。
実際の事件がヒントといいます。
父親は寡黙で実直で厳しいが、小林隆さんの持つ優しさが
自然とにじみだしていて、程よい加減の雰囲気がありました。
母親の竹下景子さんは、ごくごく普通の母親=何があっても
大きな包容力と明るさで家族を包んでしまう理想の母親像を
「安心して」観させてくれます。
有名弁護士役の中村まことさんも堅物で独裁的と見せて、
実は公正・公平を厳格に打ち出しているだけで、心ある人物を
さすがの安定感で演じてます。
他の配役は新国立劇場の研修生またはOB/OGとのことですが、
無名なれど先入観が無く観れ、なかなかの好演。
(ただ、長男のお調子者ぶりを演じるのは確かに難しそうで…)
これを家庭の居間だけで描く、まるで裁判所、裁判シーンのない
法廷物ののよう。
地味で重いテーマなのに、随所にユーモアが挟まれたり、にじんで
いたりして「観やすくする細かい配慮」が多々あったようです。