幕末!天命、投げ売りのクマさん 公演情報 演劇企画ハッピー圏外「幕末!天命、投げ売りのクマさん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    やはり面白い!
    さすが演劇企画ハッピー圏外の公演である、楽しく面白い芝居であった。ただ、前回の時代劇「宵闇よりも速く駈けて」(2014年5月 TACCS1179 俳協ホール)に比べ遊びが多かったと思う。車のハンドルも遊び(余裕)がないと危ないが、それが過ぎると危険であろう。公演でも度が過ぎると白けるが、本公演も序盤はずいぶんと緩い演出であった。しかし、タイトルにある”天命”と坂本竜馬が繋がってくると俄然魅せる芝居へ…

    ネタバレBOX

    この”天命”、坂本竜馬が受けるのではなく、一介の町飛脚が受けるところが面白い。
    さて、飛脚の熊八は、夢と思しき中で浦賀沖にくる黒船来航を予期する。頻繁に近未来の出来事が事実となってくる。この出来事、実は神様からの天命によるもの。初めは神様(内堀優一 氏)の天命であったが、神様の人事異動(その発想もユニーク)になるため、引継ぎで後任の神様(彩島りあな チャン)がその後の天命を啓示(?)してくれる。熊八にはその”力”を活用し世に影響を与える術を知らないことから、坂本竜馬(黒藤結軌 さん)に乞われるまま神様からの天命を投げ売りし出した。ここから歴史書(小説)にあるような竜馬の活躍が描かれる。天命は小出しに伝えられるため、常に竜馬の傍にいなければならず京都、長崎まで呼び出される始末。熊八は愛妻・八重(澤木さやか さん)にも会えなくなり天命伝達の煩わしさも手伝い、途中で天命啓示の伝達を辞めてしまう。その後、竜馬は暗殺されるが、竜馬は死後のことを三通の手紙に託す。その一通は勝海舟×西郷隆盛の会談により江戸戦禍の回避へ繋がる…というハッピー圏外による新(珍)解釈を創り出す。面白い着想とそれを芝居として観せる演出は秀逸である。また、21名のキャストのうち、大半が複数の役柄を担い、最後まで飽きさせない芝居に仕上げるところが凄い。
    演技では、ラストシーンの坂本竜馬の死に際…瞬きせず見得を切るような眼力は本当に迫力があった。

    なお、序盤の呉服屋・若旦那の八重に対する恋慕な場面から、熊八と八重が結婚する迄が緩いような…。この緩さがラストの迫力ある竜馬暗殺場面との落差を演出して印象付けようとしたのだろうか。

    しかし、人間は天命を受けても活用できない者もいれば、人を介してでも世の中に影響や変革を成す者がいる。その気になれるのか、立場が人を変えるのか。そんな形成をしていく姿が描かれていたようで興味深かった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/04/21 18:55

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