満足度★★★★
演劇作品+ダンス作品。熱い稽古風景が目に浮かぶ、妥協なき2作品を堪能。/約145分(休憩込み)
演劇とダンスの2本立て公演。
いずれの作品からもKENTARO!!さんの高い志、創作に対する妥協なき姿勢が伝わってきて、とても見応えがあった。
演劇作品『浅い河床の例え話』は正直ワケが分からなかったが(失敬!)、演出も演技もカッチリ、音楽や音効、照明の用い方にも強い創意とこだわりがうかがえ、ずっと前のめりで鑑賞。
意味不明でも、描かれている何時とも何処とも知れない世界に生きる者らの底知れない淋しさはひしひしと伝わってきて、その寂寥を持てる創意を振り絞ってしっかり表現してのけたというその一点だけをもってしてもこの作品は評価に値すると思った。
演劇作品といっても、主に舞踊作品を作っているKENTARO!!さんの作品とあって、人物の配置の仕方やキャストの繰り出す動きには美と面白味が感じられて、そうした点でも魅きつける。
キャストはどなたもダンサーではなく役者なのに、難度の高そうな動きもしっかりかっちり表現していて、ハンパない努力の跡が窺えた。
演劇作品とは別キャスト、カンパニーのメンバーだけで上演されたダンス作品『島棚』も秀逸。
躍動感と優美さが綯い交ぜになった群舞は、鑑賞するうち生(せい)の原風景を見ているような気分にさせられて懐かしく、胸が震えた。