満足度★★★★★
絶望の彼方に希望がこみあげてきました
まず山谷さんの脚本が素晴らしい。
そして脚本に描かれた世界を呼吸して演じる俳優陣も。
昨年加藤健一事務所の公演で『あとにさきだつうたかたの』で山谷さんの多次元構造の脚本に唸り、今回本公演を初めて拝見しました。
3つの時代が描かれていますが、時間という薄い壁に隔てられているだけで劇のなかで同時に存在しているような気がします。
いつの時代も不完全で愚かな存在である人間。
過去を振り返ることはできても同じ過ちをおかさないとは限らない、顔の見えない情報が独り歩きし、気づかぬうちに誘導され、言葉をすり替えられると、非戦を主張するものがまるで仲間を助けない身勝手なものであるかのように思ってしまい、なにか不気味な足音が聞こえている現代。
でも同じ人間が身を寄せ合って生きることの希望も感じさせてくれる素晴らしい作品でした。