『山茶花』 公演情報 演劇人*「『山茶花』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    役者の熱量は大いに見る価値あり。ただし…
    まず最初に苦言を呈しておくとプロットが雑。
    演出と役者は相当がんばってると思うが、おもしろさの上限があらかじめ決まっている中で、稽古では「理論上限値に近づける」ことしかできなかったのではないか。
    これ以上はネタバレで。

    とは言っても、キャスト。
    見目麗しく、しっかり演技もできる「女優」が山ほどいる中で、凛と美しいヒロイン、今まで見たことがない役をそれはもう堂々と演じる本間理紗を見るだけでも3,000円の価値は十分にある。
    (ルパン三世「カリオストロの城」におけるクラリスの位置、と思っておけば半分ぐらい合ってると思う)

    やまこの三人は立ち回りもキレがあってよかったし、石部雄一の妖しい色気と弱さの二面性は物語の奥行きを増していた。
    森下まぐ、松木わかはも出番こそ多くないものの独特の存在感を放っていた。
    全体的に女性キャストがパワフルな座組。

    殺陣は、目の前で刀がビュンビュン空を切るので最前列で見てたら怖かった。安全対策は講じているんだろうけども。。。

    衣装や小物も凝っていてよい。でも残念だったのが足元。
    ゴム底のAirMaxみたいな地下足袋はこの世界にマッチしておらず、詰めの甘さを感じさせた。

    ネタバレBOX

    中盤、永楽園から出るの逃げるの、逃げる途中でどうの、やっぱり戻るの、戻ったら戻ったで今度は別の人と逃げるので何回も同じような立ち回りが繰り返された挙句、ちょいちょい挿入される細切れのエピソードで話の全体像が見えてくるのかと思いきやそれも中途半端。

    やまこという設定上の必然性もイマイチ。
    彼ら自身の出自である「里」にリアリティが感じられず、掟や指輪のくだりも裏付けが不足しているように思う。

    そしてサンサカの母、チャドの妻、源兵衛の母など終盤で伏線が(少なくとも明示的には)回収されず曖昧なまま。

    むりやり悲恋話にもっていくのも強引に感じられ、ひょっとして「小劇場でハッピーエンドはご法度」という呪縛でも感じているのだろうか?と勘ぐるほど。

    つばき(椿)とサンサカ(山茶花)の対照、対称性をより明示的に描くとか、違うやりようがあるのではないかなぁ。

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    2015/03/20 00:47

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