満足度★★★★★
静かな雄弁
言葉の一つ一つが生き生きと、その持ち主達だけのスピードとテンポで飛び交う。だけれどその全部がどこか空々しい。全員がもっている「隠している」「取り繕っている」「探っている」「いぶかしんでいる」「畏れている」そんな気持ちが、薄い幕のように作品全体を覆っている。しん、としている。
中盤、その幕のほうぼうがピリピリと破れて行き、中身が少しづつ見え始めてくる様は、ゆで卵のからをマダラに剥いているかのような気持ちにさせられた。
抑圧された芝居を見せた橋本氏、ぬめり匂い立つような色気を見せた森川氏、少女の毒を艶やかに見せた阪田氏の演技が心に残った。