独りぼっちのブルース・レッドフィールド 公演情報 ポップンマッシュルームチキン野郎「独りぼっちのブルース・レッドフィールド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    あの時確かに「劇場」中を掌握する力を感じました
    (観劇二回目感想すいません)
    先に最前列でR-18ステージを観てしまった為、
    今回の二度観、ど真ん中席普通ステージでは
    どういう感想を抱くのだろう?と自分でも思っていました。


    パンフレット含めて読み込んだ上での二度観という事で、
    各演者の所作/台詞に隠された伏線を眺めつつ、
    いつの間にかやはり物語の世界に引き込まれていました。

    「知っている」からこそ分かる、
    単なるやりとりでないその「重さ」を受け止めながら。。。


    まず、PMC野郎のお芝居は軽めの笑わせる展開と思わせておいて、
    (観直すと気づく)かなり意味深な伏線張りまくってるんですよね。

    1度「ラスト」を観たからこそ分かる、復讐劇でありながら
    基本「おちゃめ」と言っていいほど気のいい連中の明るいお芝居の中に
    物語を根底から覆してしまうほどの展開への
    「伏線」が程よい割合で差し込まれているという。


    そして、PMC野郎の更にすごい所は、物語の起伏どんな場面でも
    そこまでのストーリー設定を上手く活かした笑いの小ネタを差し込んで
    「大爆笑」を取ってしまう、という事。

    ※ 「笑いネタ」の取り扱いにおいては、
      自分の中では劇団「PMC野郎」が一番かも知れません。


    観劇していて「楽しみ」「悲しみ」「憤り」など色々な感情を
    舞台上から受け取って、観客も同様に感じているからこそ、
    いきなり、それもちゃんと物語と繋がった笑いの小ネタが差し込まれる事に、
    思わず劇場中が「大爆笑」させられてしまう
    (えっ!あの人そんな事になってたの!的な)、
    観客の「心のスキマ」を突かれるような見事な笑わせ方が出来ているなあ、と。




    昔、同じ劇場で全く別の舞台公演を観た際、
    舞台最前列からわずか3席程度後ろになっただけで、
    舞台上で演じている役者の感情と熱が「全く伝わってこない」という事がありました。

    本劇場の構成、
    ・ 前半分は平台(=前の人の頭で舞台が見えにくい)、
    ・ 後ろ半分は段差式(=遠いので演者の表情は分からないが舞台自体は見える)、
    について、
    その時は「本劇場自体が広さと構成の関係もあり、役者の熱を伝えにくい」
    と考えていました。


    しかし、今回ブルースレッドフィールド(渡辺徹)と「アイツ」の熱場面、
    劇場のど真ん中席の自分にはその表情までは観えませんでしたが、

    はっきりいって「胸ぐらをつかまれるぐらい」に、気持ちを持って行かれました。
    ※ もしかしたら初回最前列観劇時の(2人の表情の)
      記憶が残っているのかも知れませんが、

    「アイツ」はすごかった、そしてそれを受け止める
    ブルースレッドフィールドもまた熱かった。


    感情伝播の話をすると、役者さんが演技に「熱」(感情)をのせたとして、
    観客にその感情が伝わる(伝播、共感する)距離は、

    ・ 役者の熱量
    ・ 役者の演技の上手さ
    ・ 物語の良さ(場面の盛り上がり具体)
    などが関わってくると思います。


    ある舞台では、最前列/目の前で号泣する演者を観ながら、
    まったく涙腺が緩まない事もありました。


    しかし、本劇の「あの場面」はすごかったと思います。

    劇場ど真ん中の自分は「アイツ」とブルースレッドフィールドの
    言葉のやりとりから目(耳)を離せず、目は涙に潤んでいました。

    そして、お互いの気持ち、語っている心情とその状況が痛いほど
    リアルに心に浮かびました。

    ※ 勘違いでなければ、あの瞬間、劇場中が
      舞台上の2人の芝居(感情)に支配されていたと思います。


    二度観てなお、これだけの求心力を持っている、
    「独りぼっちのブルースレッドフィールド」、
    間違いなく名作認定ものですね(´;ω;`)

    ネタバレBOX

    ヌータウ(加藤慎吾さん)に惚れたわ。

    これまでの舞台でもその役どころと上手さは感じていましたが、
    ヌータウはがっちり自分の心を掴んでしまいました。

    ブルースレッドフィールドの(偽りの)復讐劇の中、
    ブルースと食事を取る度に
    「トマト入ってるぞ」
    「人参くれ」
    とこの(偽りの)復讐劇を何年も何年も続けて来た中で
    (奇しくも)育まれてしまった”友情”、
    だからこそこのやり取りが重い(´;ω;`)


    そして、(最後と定めた)ビル・バセットの殺害計画の中で
    「この復讐が終わったらどうするか?」について、
    ブルースは「自分が信じていた家族の敵討(かたきうち)の後」として、
    ヌータウは「(ブルースを騙して)ブルースの血縁全てを殺すという復讐の後」として、
    それぞれの想いを持って語り合いますが、
    そこにも”友情”、そしてヌータウに生まれた葛藤が・・・


    (何も知らない)ブルースの友情に対して、
    (騙している)ヌータウもついほだされ始めてしまう・・・


    本当の最後の血縁エリナを殺さず、消えたヌータウとアナ、
    そして「真実」を知ってヌータウとアナを追うブルース。。。


    今回2度目の観劇ですが、今回の全役者さんの
    熱量はとてもとても高かったと思います。

    ※ 特に渡辺徹さんが「ヌーーーーーータウ!!!!」と叫ぶ辺りから


    10年の時を経て、ヌータウとアナの元に現れたブルース。
    ヌータウの言葉を聴いてなお、
    ブルースは「自分自身にその家族を殺させた」
    ヌータウを殺そうと思っていたのでしょうか。

    あの時、ヌータウの家族達が出てきた事で

    実際には無かった出来事である、
    「自分が自分の家族をギャングから守ろうとして守れなかった」、
    あの場面を思い浮かべたのでしょうか、

    そして暗転とともに一発の銃声。


    記憶を捨てたブルース。


    西部開拓時代、インディアン達を殺して
    土地を奪うことを生業(なりわい)としながらも
    「正しい人になりたかった」というブルースのその心情、

    そして犯してしまった多くの罪、

    そして罪に対するヌータウの仕返し、

    (これも他の感想者さんが言っていた事でしたが)
    誰もが正しいとは言えない、

    そんな時代の中で、ただ1つヌータウとブルースの間に
    生まれた友情だけが最後の真実だったのでしょうか。


    (1回目の観劇では印象に残りませんでしたが)
    ブルースの最後の言葉
    「悪くない、悪くない」、

    そして娘にイヤリングを渡して抱き合う姿が、
    ブルースの夢を最後の最後に果たしたのだなあ、と
    これまた涙が止まりませんでした。
    ※ 完全に感情伝播の距離を超越してます。胸ぐら掴まれてます。


    自分でも何書いてるんだか分からなくなってしまいましたが、
    とにかく「すごい物語」「すごいお芝居」でした。


    PS.舞台セットの使い方も上手かったです。
      回転舞台が素早い場面転換の他、真の復讐の旅である10年のその道程の激しさを表す様(さま)など。
      そして、映像なのか幕なのか背景に描き出された過去のブルースの行いと
      自分が葬った家族達の場面など。

    0

    2015/02/28 21:03

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大