春、さようならは言わない。【当日券若干数販売しております】 公演情報 江古田のガールズ「春、さようならは言わない。【当日券若干数販売しております】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    10代のシャンソン(再々演を望む)
    高校のシャンソン部を舞台に5人の生徒と顧問の先生が織りなす
    ストレート学園ドラマ。
    まるでドミノのように片思いが連鎖する切ない青春の日々が描かれる。
    シャンソンというドラマチックな手段が素直にはまって大成功。
    初演は2時間40分、それが今回2時間になったというが
    もう少しスリムになっても良いかなと思う。
    導入部分など、もっとまっすぐ本題に入っても良いのではないか。
    客演の井端珠里さんが歌うフランス語の「愛の賛歌」が素晴らしく、
    若い方の爽やかな力を感じた。
    終演後は三軒茶屋ミワの「新春シャンソンショー」で3曲。
    「ミロール」を聴くのは2度目だったが相変わらず素晴らしくて
    この3分間の人生劇場にボロ泣き。




    ネタバレBOX

    高校卒業後1年、かつてシャンソン部を立ち上げて活動していたメンバーが
    静岡の母校に集まってくる。
    顧問の教師と共に、一緒に埋めたタイムカプセルを掘り出そうとする。
    片思いが交差し、思いをシャンソンにのせて歌っていたあの頃。
    そこに、霧島薫だけが来ていなかった…。

    高校生にはなじみの薄いシャンソンを、敢えて部活にしたところが面白い。
    不器用ながら、言葉にできない思いを歌にのせる部員たちが熱く新鮮。
    シャンソンと言えば、“熟年層が好む人生のほろ苦さを歌う歌”、
    というイメージだったがそれが見事に覆され、
    改めてその普遍的な魅力を再認識した。

    圧巻は、強い転校生霧島薫(井端朱里)が歌うフランス語の「愛の賛歌」。
    大人の味わいとはまた違う、10代の勢いと希望にあふれた歌声が素晴らしかった。
    アイドル顔の霧島が、ヤンキー男子の胸ぐらをつかむ強くて男っぽいキャラなのも面白い。
    このキャラ魅力的なので、ほかの部員たちとの恋模様がリアルに立ち上がって動き出す。
    全員が率直な思いを歌に託して一生懸命歌う姿に、素直に感動する。

    牛島先生がちょっと天然で先生らしくなくて、リアル感に欠けたかな。
    冒頭のかみ合わない会話など、導入部の集中力をそいでしまいがち。
    そもそもこの話は、あるシャンソン歌手がステージ上で観客に語る
    “人から聞いた話”として始まるのだが、
    こういった構成をもう少し整理して印象的に見せたら素晴らしい“似非ミュージカル”として
    劇団の代表作にもなると思う。(もうなっているから再演したのかもしれませんが)

    山崎洋平さんが歌うシャンソンの魅力が若い世代にも通じることを見事に表現しているし、
    役者さんの中にもこんなにシャンソンが歌える方がいるという事実に心底驚いたし、
    歌と笑いと涙が全部詰まっていて、素晴らしい作品だと思う。

    伴奏担当の鈴木を演じた陣内ユウコさん、ビミョーな片思いの表情が切なくて
    不器用で繊細な10代の心情を見事に表現している。
    タイムカプセルから出てきた霧島の手紙を読んで号泣した橘(赤間直哉)よ、
    私も号泣したぞ、残念でならないあなたの気持ちが本当に伝わって来たから。

    山崎さん、また再演してください。
    私はこの作品をまた観たい。
    次はさらに進化していると信じて待っています。

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    2015/02/20 03:42

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