青ひげ公の城 公演情報 非シス人-Narcissist-「青ひげ公の城」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    完成度の高い舞台でした
    6日夜、新宿のサンモールスタジオで上演中の非シス人公演『青ひげ公の城』を観てきた。非シス人を観るのは今回で3回め。いずれも知人である若林美保の出演舞台という関係からである。

    さて、今回上演の寺山修司原作『青ひげ公の城』、今回で3回めの上演ということで、全体として演出の完成度が今まで観てきた中で一番しっかりしていて、混沌とした内容を理路整然的確に役者を動かし観ていて気持ちのよいものだった。
    話としては、前提としてバルトークの作曲したオペラ『青ひげ公の城』の粗筋を知っていたほうがわかりやすいだろう。オペラの台本は、ハンガリー生まれのユダヤ人作家バラージュ・バーラ(本名バウエル・ヘルベルト)が書いたもので、ある城の主・青ひげ公の7人目の妻となる女性と公との2人の会話からなるもの。これを知らないと、非シス人の舞台で竹下優子の演じる山本百合子がなぜ青ひげ公の7人目の妻なのかが釈然としないかもしれない。寺山は、この青ひげ公の話を舞台公演の楽屋話に置き換えた。7人目の妻役を演じるために劇場にやってきた山本百合子であるが、監督から6番目の妻たちの演じる場面が終わるまで楽屋での待機を命じられる。しかし、楽屋を抜け出して劇場にいる他の役者たちの演じるシーンやプライベートを覗き見し、その混沌とした有り様に困惑する。しかし、彼女には青ひげ公の7人目の妻役を演じるためにだけにこの劇場にやってきたのではない事情もあった。ここで行方不明になった兄の消息を尋ねるということが。これは劇場の衣装係から兄は演劇の中で殺された事を教えられるわけだが、その死いやこの劇場で起こっていることすべてが現実か非現実かその境界線が崩れていく。
    この境界線の崩れも、実は原作の元となっているオペラでも提示されるわけで、本舞台と合わせてオペラも鑑賞することをお勧めしたい。
    で、粗筋はとにかく、舞台としては洗練されていましたなぁ。特に際立ったのは、第1の夫人役・憩居かなみと第3の夫人役・岡田静。それに、演出を手がけ第2の夫人役も演じた間天憑の魅せる妖しげな存在感。また、竹下をはじめ複数の役者が挿入歌を歌ったわけだが、歌という面では四人の楽屋番のアンサンブルが見事。ただ、毎回言うようだが洗練せれているとはいえダンスシーンの必然性には、今回も疑問を持った。というより、ダンスを入れるならちょっと違った形で劇進行に合わせた内容にしてほしいのだ。どうもそこのところは自分との感性の違いだろうね。観客席から出演者が舞台に出て行くという使い古された手法、今回は生きていたように思う。何だかんだ言って、この劇のキーパーソンは小川知子演じる衣装係なのかもしれない。彼女が、この舞台で提示される現実と非現実の門番だったりするのかも。
    若林美保は第4の夫人役で出演。歌と踊り、それに自吊りパーフォーマンス(第4夫人の運命を暗示する狙い)で存在感を示していた。
    とにもかくにも、今まで観た非シス人公演の中では一番気に入った。これは、また数年後再演して欲しい演目である。

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    2015/02/14 13:34

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