タケルのミコト!【アンケート即日公開】 公演情報 劇団バッコスの祭「タケルのミコト!【アンケート即日公開】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    イザナギ/イザナミの創世神話とヤマトタケルの物語、これらをよくこのテーマと繋げたなあと
    ※ここに書くのは現地でもらうパンフレット+ご鑑賞の手引き、
    に記載されている内容です。
    ご鑑賞の手引きはフライヤーの数枚後にあるので分かりにくいですが、
    かならずこの2枚には目を通した方がいいです
    (物語の面白さ度合いが変わります)。

    演技、演出、舞台構成面には
    「若さ(劇団、役者さんの年齢は知らないですが)」が
    出てしまったかちょっと拙い面もあるかと。

    しかし、ヤマトタケルの物語と「出生前診断」、
    そこから始まる現代社会の「不幸」(あるいは違う「幸福」の形と捉える?)を
    見事に物語として成立させているかと。
    (ひさびさ観た演劇の中でこの「テーマ性」は重いというか重要すぎます。)

    また、物語の半分近くを占める殺陣、立ち回りの数々についても
    アクション上手が絡み合った場面など、見どころ多々あり。

    笑いの取り方もまずまずで、見どころ(何より考えどころ)のあるお芝居でした。

    ネタバレBOX

    【思った事】
    ・ 日本史や創世神話、ヤマトタケルなど全く知識のない自分でも
      パンフレット+ご鑑賞の手引き
      で、予習出来ていたおかげで、
      史実(伝説)部分とフィクション(創作)部分とが
      上手く組み合わさっている(脚本の巧みさ)のを
      理解しながら観劇できました。


    ・ 1時間50分のうち、半分近くの時間を使った殺陣、立ち回りは壮観。
      先にも述べましたがアクション上手同士が絡むと
      見事な大技が炸裂し、「この小舞台の上でよくもまあ」と驚かされる事しばし。

      ただ、本物語は何よりも「物語」自体と「テーマ」性の方が重要だと感じましたので、
      もう少しお話部分に時間を割くべきだったかとも思います。

      ※ 何よりもいくら良い殺陣も繰り返されれば飽きてしまいますので。


    ・ ヤマトタケルの物語と
      「出生前診断(お腹の中の子供が健康か、何らかの障害を抱えてしまっていないか?)」、
      そして障害を持って産まれてくると分かった子供に対して
      親(になる者)達は、どうすれば良いのか?

      「命は大事」

      「母のお腹に宿って、いつからが”人”なのか?」

      「自分達が死んだ後、生きていく事すら苦労する子供なら
         (そんな不幸な目に合わせない為にも)産むべきではない」

      「障害を持った人は社会全体が助けなければならない」

      などの人間誰しもが考えてしまういくつもの選択肢/方法論から

      「誰もが遺伝子に何らかの問題を抱えている(=障害を持った子供を産む可能性は0ではない)、
        ならば子供など作らずに自分の遺伝子を改良し不死にして最強の存在になれば良い」

      というファンタジーな回答まで、
      本当にリアルとアンリアル(ノンリアル?)、
      創作と現実的な問題とを上手く
      「物語」として、そして「テーマ」として
      組み合わせていると思いました。


    ・ 演技について、笑いの取り方は「上手さ」も感じられました。

      ただ、(自分の感じ方としては”若さ”なのですが)
      演技、台詞、感情の載せ方などに拙さを感じ、
      アクションシーンほど普通のお芝居の場面では引き込まれるものがありませんでした。

      ※ 後半の盛り上がりで改善されましたが。

      父の「産まれて来るのが可哀想だからこそ産むべきではない」という考えと
      同じ意見だったヤマトタケルが、
      妻の意志、そして妻が子を堕ろす決意をした場面で
      やっと父性に目覚めたのか(自分の子供の存在(”人”である事)を認めたのか)、
      それを止めるシーンでは一番涙腺を引かれるものがありました。


    ・ ヤマトタケルを仕留める役をおっていたはずの従者が、
      いつの間にか介護士の手伝いを不平を言いながらもしていて、
      それが最後にはヤマトタケル達が産むであろう
      障害を持った子供を育てる苦労に対して、
      「俺達も手伝えばいいんだ!」と言い切った場面など、
      まさに本劇の「テーマ」に対する脚本家なりの回答
      (助けあう世界)だったのかと思いました。


    ・ アクション場面とお芝居場面とのバランスにもう少し工夫が欲しかったですね。

      ・ 盲目の剣士と難聴の女性との恋愛の悲しい最後

      ・ 片腕の剣士の最後

      ・ かつてヒルコを失った叔母(?)や自分の母、弟などの物語

      ・ かつて殺されるはずが生き延びた口唇裂の障害を抱えたユイの物語

      など、色々なサブストーリーについてもう少し掘り下げてくれたら
      きっと涙なしでは観れない物語になったかと思います。


    ・ 演技や物語部分の「上手さ」にもっと舞台上に気持ちを惹きつけられていたら☆5つでした。
      次に期待です。


    何よりも「脚本」と「テーマ性」の良さがまず目立つ舞台。
    現代の自分が同じ(障害を抱えた子供が産まれてくると分かった)状況になった時、
    ヤマトタケルとその妻がたどり着いた答えに自分もたどり着けるのか?
    想像もつきません。

    父のように「産まれてくる子が可哀想」、
    更には「一緒に暮らす間ずっとその事に”産んでごめん”と謝り続ける」事を考えてしまうと、
    パンフレットにあったように「9割の人が中絶を選ぶ」事について、
    非難する事も出来ません・・・


    しかし、自分の良心を信じたい、そして
    本物語と同様他者の子供、または他者自身が障害を持って苦労して生きていくのならば、
    その助けになりたい、そういう事がちゃんと出来る人間になりたい、
    と思わせられました。

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    2015/02/07 22:46

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  • ご来場ありがとうございます。
    三種の神器ミタマ役をしました、えりです。
    星を4つもつけてくださり嬉しく思います!

    次回の公演は5月です。
    また素敵なお話をお届けしますので観にきてください。
    今後とも劇団バッコスの祭をよろしくお願いします。

    2015/03/02 21:11

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