鬼のぬけがら 公演情報 ナイスコンプレックス「鬼のぬけがら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    自ら鬼となったことに気付けた者は何かを救うのか。
    これはキムラさんにしか描けない物語だと思った。

    ネタバレBOX

    キムラ真さんの出身地、宮城県亘理郡亘理町荒浜を舞台にした作品。
    「3.11」、東日本大震災に真っ向から挑んでいた。

    私は東京都在住、実家が神奈川の首都圏、
    震災については当事者ではない。
    母方の祖父母が宮城の内陸出身。
    震災の1年後に南三陸に行った事がある。
    ・・・と書いたけれど、結局そんなパーソナリティは一切関係ない。
    この物語を観るのは誰が観たって良い。関係あろうが、なかろうが。

    震災当事者についての表現は
    取材などに基づいているのだろう、純粋に直球。
    おそらくテレビとか開けたメディアにはあまり広く伝えられない。
    それぐらい本当の暗い部分とかも直接踏み込んで描かれている。
    実際に訪れたキムラさんだからこその作品だと思える。

    鬼という存在が登場する童話が出てきて、
    レッテルを貼る、恐れの対象が状況によって移り変わる。

    人は楽をしたがる、求める欲求があるから、
    その場の状況により、流されるし、視点も変わる。

    主人公の父、克己が鬼となる選択をしたこと。
    周りの鬼になっていることに気付かない者たちにも
    良し悪しでは判別できないものがある。
    どの登場人物に対しても感情が移入でき、
    それでいて現実の親子、家族の話とお伽話が
    無理なく共鳴しているのが、味わい深く良い。

    おぼんろの末原拓馬さんは
    お伽話的な要素を加えるのに十二分に魅力を放つなと感じた。
    彼自身が創る劇団の作品がファンタジックである故かもだが、
    ナイスコンプレックスの座組みでよりリアルというか、
    胸に気持ちよいくらいストンと感情や思いが落ちてきた。

    本当にどのキャストも誰一人例外なく素晴らしく世界を作っていた。

    海の荒れによって環境が一変してしまったものの、
    最後は海に帰るという結び方も心に残る。

    このカンパニー全員によって
    生み出された素晴らしい世界に感謝したい。

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    2015/01/26 22:57

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