プルートゥ PLUTO 公演情報 Bunkamura「プルートゥ PLUTO」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    外国人にも受け入られそうな劇画舞台
    手塚作品のアトムはキャラクターとその背景は知っているが漫画やアニメ自体は見たことがない。
    今作の浦沢・長崎版は途中まで既読。そんな事知らなくても興味深い内容でした。
    ヒューマノイドの感情、負の連鎖、思考の尽きない仕上がりに谷さんの脚本の良さも感じたけど、ロボットは人間と同じ感情を持つことができるのか、の部分も下敷きにした漫画版プルートゥの舞台でした。
    記憶の中で存在する生身の家族、人間と同じようにロボットも家族を持つということ。互いの言葉とその時の思いが切なく、すぐには明確な答えは見つからなかったけど、いろんな見方が出来たいい舞台でした。
    場面の切り替えも多いのに、多様な展開と役割を演じた役者さん達も良かったです。面白かった。

    舞台前方席潰し、その辺りの席からだと映像はやや見づらいかも。また舞台端でやりとりする箇所もあり、なるべく正面席から見た方が印象も違ってくるかもしれない。
    舞台映像をあれだけ効果的に見せられたら、次の舞台効果?操作?は何があるんだろう。3D‥の必要はないか。紅白のパフュームの時に見たドローン?だっけ、それぐらいしか思い浮かばない。今後どこかの舞台で出てくるかな。

    ネタバレBOX

    開演前には通常の案内に加え、internationalバージョンも。
    劇中、ロボット操作は文楽を彷彿したり、舞台上に漫画同様のコマ割りや無機質な形の板多様で重要な役割を持っていたり、映し出されるマッピングの凄さ、マンガでしか表現できないと思っていた光の表わし方など、見ているうちにどこか逆輸入された外国人が接するオリエンタルジャパニーズコミックのアートワーク舞台を見ているような感覚に。
    使用済みとなったロボット達が舞台正面を覆い尽くすロボット墓場も象徴的だったが、漫画上の表現である飛ぶアトム、PLUTOとの戦い、爆発爆風の視覚効果など面白かった。
    完璧な人工知能を持つロボットは誠実、悪意感情は待たず、悲しい思いも持たず、咽び泣くこともせず、不要な記録は削除し必要な記憶だけ覚える。バグったら修理可能で生きて行く。一方で嘘をついたり、都合の悪いことは忘れたり間違えたり、場合によっては傷つけたり。泣いて反省して楽になり成長していく喜怒哀楽が出来るのが生身の人間の特権なんだが、混沌とした今の世界の中では国家間で生じる憎しみや復讐の連鎖が先走り、それが全世界共通のワードになってしまったような。
    人間が出来ないことを科学の子(元は20世紀仕様の21世紀型版ロボだけど)、ロボットに託して永遠の課題を突きつけられた印象で終わり、切ないやら難しいやら気持ちがやや複雑になってしまったけど。

    ウランからヘレナの2役交互に演じた永作さんの年齢不詳の透明感といい、ゲジヒト寺脇さんの硬質な実直さとか。未来君の身体表現能力がさらにしなやかでより進化していた、まだ少年役ができるとは。
    2人の息子を失う事になった天馬博士の言葉にはしない悲しみや、感情がありそうでないプラウ〜の声の柄本さんの上手さ。無感情ぽいアブラー松重さんが合っていたし、吉見さんがまんまお茶の水博士なのにルーズベルトの声も演っていたとは驚き。
    可愛い顔した恐ろしいクマー!も名演でした。

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    2015/01/18 12:36

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