フタリニミエタ 公演情報 Oi-SCALE「フタリニミエタ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    死と暴力の気配
    小さな町で一晩に起こった3つのエピソードをオムニバス形式で描きながら
    最後はそれらがひとつに繋がっていく。
    濃密な死と暴力の気配が観る側にも緊張感を呼ぶ。
    ラップや朗読形式などバラエティに富んでいる一方、若干唐突な感じも受けるが
    表現に立体感があって3Dな空間はOi-SCALEらしい気がする。
    それにしても林灰二さんって“、飄々としてるけど実は怖いおじさん”を演らせたら天下一品だ。
    ほかの出演者も“危ない雰囲気”がすごく出ていてビビる心理がリアルに伝わってきた。
    映像の使い方がユニークで面白いと思っていたら、ラストですんごい驚かされた。


    ネタバレBOX

    久しぶりに町へ戻って来た男と、彼を迎える昔の仲間らしい男達の話から始まる。
    「久しぶり~」な感じの会話が次第に町を牛耳る一族の報復を恐れる話になる辺りから
    不穏な空気が流れ始める緊張感のつなぎ方が上手い。
    男が“出所して戻って来た”という事情が分かってから
    ますますヤバい雰囲気はエスカレート。
    「うわっ」となったところで暗転する演出も嫌いじゃない。
    相模の強くて怖くて面白いキャラクターを林灰二さんが魅力的に演じていた。

    2つ目のエピソードは、事故で精神に障害を負った弟と
    彼を気遣いながら過干渉になったあげく仕事と生活のバランスを崩していく兄の話。
    必要と依存の微妙な境界を見誤る二人に、さっき痛めつけられた男、
    相模が軽く絡む。

    3つ目は自分が棄てた女が、交通事故で死んだと聞かされた男の話。
    女はある男のバイクの後ろに乗っていて死んだ、そしてバイクの男は生きている。
    相手の男を「ぶっ殺してやる」と息巻くならなぜ女を棄てた、という話だが
    理不尽で身勝手な思考回路をねじ伏せるだけの、
    やり場のない怒りと哀しみが伝わって来る。
    身勝手な河口を演じる森田哲矢さんの途切れない緊張感が素晴らしい。
    この河口が自分自身事って死んでいくとき、
    最期に見る風景が映し出されるシーンが秀逸。
    映像のセンスが良く、しかもウィットに富んでいて大変驚いたし面白かった。

    3つのエピソードの底を流れる死と暴力の匂いが、
    露骨な描写なしで濃く立ちのぼるところが好きだ。
    途中ラップや朗読スタイルが入ったのはちょっと唐突感が否めなかった。
    だが常に挑戦的な姿勢は必要だし、ラストシーンのように大成功するものもあるから○。
    林灰二さんという強烈な個性が牽引する劇団はやはり目が離せない。


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    2014/12/12 05:27

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