吉良ですが、なにか? 公演情報 アタリ・パフォーマンス「吉良ですが、なにか?」の観てきた!クチコミとコメント

  • 吉良にも吉良の物語あり
     舞台というのは、残酷だと思う。テレビや映画なら、ワンカットずつの撮影で上手く編集したり組み合わせにより、その魅力が最大限に演出される。編集者の腕によっては、もう別物といったものにすらなりうる。その点、芝居はごまかしが効かない。すぐ目の前には観客がいる。息遣いや汗は全て白日の下だ。セリフをとちったら、やり直しはきかない。今日は気分が乗らないから、なんて途中で中止にすることもできない。The show must go on.やるしかない。ヴェテランも新人も、テレビで売れてるとか知られてないとか、これまでの実績とかそうしたもの全て関係ない。その舞台一回こっきりだ。真の実力が試される。役者として、ひょっとしたら人として、演技力や存在感といったものを問われる。しんどい仕事であり、思うように演じられ、決まったと思えた瞬間は、比べないほどの快感を覚える仕事でもあるだろう。
     噂に名高い本多劇場は、初めての来訪。小劇場スゴロクの"上がり"であり、大劇場では最も小さな劇場の部類に入るかもしれない。演劇の聖地というような場所とも聞く。演じるのは、伊東四朗をはじめ名の売れた役者たち。懐かしい名前もあり、名はなくても腕自慢の役者も揃えて、さあ実力拝見!テーマは、季節感たっぷり「赤穂浪士」の吉良一家・・・

    ネタバレBOX

     舞台というのは、残酷だと思う。テレビや映画なら、ワンカットずつの撮影で上手く編集したり組み合わせにより、その魅力が最大限に演出される。編集者の腕によっては、もう別物といったものにすらなりうる。その点、芝居はごまかしが効かない。すぐ目の前には観客がいる。息遣いや汗は全て白日の下だ。セリフをとちったら、やり直しはきかない。今日は気分が乗らないから、なんて途中で中止にすることもできない。The show must go on.やるしかない。ヴェテランも新人も、テレビで売れてるとか知られてないとか、これまでの実績とかそうしたもの全て関係ない。その舞台一回こっきりだ。真の実力が試される。役者として、ひょっとしたら人として、演技力や存在感といったものを問われる。しんどい仕事であり、思うように演じられ、決まったと思えた瞬間は、比べないほどの快感を覚える仕事でもあるだろう。
     噂に名高い本多劇場は、初めての来訪。小劇場スゴロクの"上がり"であり、大劇場では最も小さな劇場の部類に入るかもしれない。演劇の聖地というような場所とも聞く。演じるのは、伊東四朗をはじめ名の売れた役者たち。懐かしい名前もあり、名はなくても腕自慢の役者も揃えて、さあ実力拝見!テーマは、季節感たっぷり「赤穂浪士」の吉良一家。結論から言うと、お見事だった。普段馴染みの小劇場演劇の役者の方が、実力は上なんじゃないかと内心思っていたけれど、素晴らしいお芝居だった。特に伊東四朗さんに圧倒された。それほど大きな動きはないのに、静と動のメリハリで大きく見えた。強面とギャグ顔のギャップと可愛らしさに親しみを覚えた。絶妙の"間"が、劇場の空気をすっかり自分のものにしていた。経験を積んだ役者が磨き上げてきた"技"を感じた。
     舞台というのは、本当に残酷だ。著名な人がこれほど上手ければ、名もなき役者はそれを超える修練と場を積まねばいけない。

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    2014/12/09 20:11

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