満足度★★★
女の闘い
昭和初期の東北の村を舞台に人々の欲や健かさが描かれていて、女性の強さが際立つ作品でした。
借金の抵当に入った屋敷を巡って人々が群がるところに、十年前に村を出ていった先代の家主の娘と、南洋に出稼ぎに行っている現在の当主である男が帰って来て秘密の約束をすることから話が動き出し、それぞれの思惑が明らかになっていく物語でした。
奇を衒った手法を用いずに役者の演技をじっくり見せるタイプのストレートな演出で、鈴木京香さんと白石加代子さん、峯村リエさん、江口のりこさんとの凄味のある対話に引き込まれました。
男性陣はコミカルだったりどこか抜けていたりと、女性のキャラクターと対照的でした。
奥行きがある空間に存在感がある大きな柱・梁が配された舞台美術が印象的で、独特の空気感を生み出していました。
照明は室内らしくない人工的なライティングをしていましたが、抑制が利いていて不自然さを感じさせなかったのが良かったです。
BGMは最初と最後と転換の時だけ用いられていましたが、転換時の曲が洋風だったのには違和感を覚え、全部和風にした方が良いと思いました。