満足度★★★
まだ表層的
ミヒャエル・エンデのMomoをベースにしてはいるが、原作をなぞってもしょうがないので、無論、オリジナル台本である。時間泥棒が登場する点が共通で、後は、モモの子孫になっていたり、人々に溶け込む力を持っている点等で似通った点があるだけである。
構成は2本立て。1本目は、若者から、大人への責任追及。どうして、こんな世界にしたのか? である。核汚染を中核とする環境汚染、戦争・紛争、差別・被差別、苛め、虐待、不信、モンスターペアレンツ等々。答えを見出す方途の一つとして、MOMO的な世界を呈示する2本目が作られている。未来とは、何もかも未知数の世界だ、という定義が、我らの救いになるか否か。それは、我らの手の内に未来を取り戻せるか否かに掛かっており、それは、時間を我らが支配するのか、それとも、時間泥棒によって奪われるという比喩で表されているように、我らが時間に支配されるのか? との問いでもあるだろう。
今作で感心したのは、照明が実に効果的に使用されていることである。照明担当の腕、センスを高く評価したい。
ところで、ホントの解決策を見出す為には、一人一人が、自分の人生をキチンと背負うことから始めなければなるまい。