満足度★★★
夜の部鑑賞
有名な作品の3本立てで、充実した内容で見応えがありました。
『御存鈴ヶ森』
俠客と若衆の出会いを描いた物語で、前半の盗賊との立ち回りでは顔や尻が削げたり、首や手や足が切れたりとスプラッター的な表現が目白押しですが、陰惨にはならずにコミカルに描かれていて楽しかったです。後半は動きの無い会話の場面が続きましたが、台詞回しに引き込まれました。
『勧進帳』
染五郎さんの弁慶デビューで、声も動きも安定感のある演技でした。最後の幕外では間の取り方に嫌味が無い素直な雰囲気があって印象的でした。吉右衛門さんの義経は台詞はあまりなく座っているだけの時間がほとんどでありながら存在感がありました。
『義経千本桜 すし屋』
源平の争いごとに巻き込まれて思い違いによる悲しい結末を迎える物語で、コミカルなやりとりが繰り広げられる序盤から、心の葛藤を描いた終盤まで場面転換が無いまま1時間40分程続きますが、求心力を失わない舞台でした。人間味溢れる権太を演じた菊五郎さん、権太の母おくらを演じた右之助さんが良かったです。