満足度★★★
会話のリアリティがいつにも増して凄い/約85分
サービスよりもリアリティ。今作はそう割り切って創られたんじゃないだろうか?
それくらい、交わされる会話がリアルだった。
その代償として、笑いもストーリー性も前2作より乏しく、全体としての面白さには欠け、★も3つとさせてもらったが、会話のリアリティを極めようと頑張った挑戦作として、私は興味深く鑑賞。
作・演出の玉田さんは今作において、笑いや物語性を犠牲にしてでも、“我々が日頃しているような会話”の再現にこだわりたかったのだろう。
リアルな会話への偏執傾向は玉田企画のどの作品にも窺えるが、今作はそれが図抜けているのだ。
ギクシャクした会話、ギスギスした会話、テンションに大きな温度差のある二人の会話、盛り上がっているのに時々ふっと静かになる会話など、我々が日々の生活で実際に出くわしたり、自身も体験したりするような種々の会話がさながら見本市のようにギッシリ詰まっているのだ。
一番興味を引かれたのは、盛り上がっているのに時々ふっと静かになる会話。
盛り上がっている会話が演劇で表現される場合、作り手は会話のドライブ感が削がれぬようハイテンションを維持しようと努めるものだが、本作ではいわゆる“天使が通る”瞬間が意図的に入れ込んであり、“あるある、こういう会話”と感心しながら見入ってしまった。
ひょっとしたら、この種の会話が舞台で表現されたのは演劇史上初めてなのではないか?
そう考えたらちょっと興奮した。
しかし、タイトルは変えられなかったのだろうか?
内容とまるで噛み合っていない。
「宇宙の」なんて大層な言葉が入っているが、いつもながらの日常劇ではないか。