満足度★★★
前半より後半が気に入った!
7日午後、中野のテアトルBONBONで上演された劇団鋼鉄村松公演『ロケットマン』を観てきた。
まず、この舞台を観に行ったきっかけを簡単に記しておきたい。いつもなら舞台を観に行くきっかけは、出演者に知人がいるというのが大きな要因なのだが、今回はちょっと違う。浅草リトルシアターという劇場で行われた舞台を見に行った折、プログラムに挟み込まれたチラシの1枚に劇団激嬢ユニットバス旗揚げ公演というのがあって、面白そうなので観に行った。この公演で、正規の団員が急病となり代役として舞台に立っていたのが小山まりあという役者。激嬢ユニットバスのメンバーはなかなか実力と個性を持った役者たちだったが、この小山まりあはユニットバスの面々とはちょっと違った資質での存在感を感じさせられ、観終わった後非常に印象に残った役者だった。これは、彼女の舞台をさらに観て、その存在感の核心を見極めなくては。そう思って機会あるごとに検索して知ったのが、今回の鋼鉄村松の舞台であった。
さて、舞台はロケットマンと呼ばれる宇宙飛行士カーフを巡る人間模様。この人間模様という言葉はなかなか曲者で、含むところの意味合いが曖昧かもしれない。ロケットマンではウラシマ効果という理論を巧みに利用し、過去・現在・未来という流れの人間関係にある次元における横の人間の繋がりというものに同時に目を向けている。人間関係、この場合家族・血縁関係と、宇宙飛行士という仕事関係の2面からのアプローチがみられ、これらが巧みに絡められて人間の愛情と居場所とはという本質的な問題に迫っている。
舞台が始まった当初は笑いやドタバタなどで観客の気持ちを舞台に惹きつけようとする演出が表に出すぎていて、これはいただけないなぁと思ったのだが、中盤以降、舞台の密度が徐々に高まっていき、気持ちも自然に舞台にのめり込んでいった。そのきっかけは、主人公カーフが無表情になっていくのと同時に、女優陣によって舞台にメリハリが付けられていったこと。そう、カーフの無表情さの中に実は感情の高まりの凝縮を感じ、芸達者な女優陣が実に上手く生身の人間の感情を吐出しているのだ。特に日高ゆいは「8割世界看板女優」という肩書が偽りでない演技(その表情はなかなか秀逸)をみせたし、小山まりあは口元や手の小刻みな震え老婆の声色と、思っていた通りの細かな芸を駆使して役を演じきっていた。
観るものにとって後半の感情の高まりは涙を誘われると思うのだは、個人的には冒頭30分ほどのドタバタ的なイメージを最後まで引きずってしまい涙するまでには至らなかったのが残念といえば残念。この劇団の実力確認には、まだ数回の鑑賞が必要のようだ。
2014/11/12 18:23
すみません!今回は昔の台本のリライトなので当時のノリで笑い少な目にしたんです。じつは今のノリはかなりコメディよりでして。。。でも観に来ていただければ頑張って満足いただけるドタバタをお見せできるよう頑張ります!ありがとうございました!!