変身 公演情報 ユニークポイント「変身」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    満員御礼!
    キャンセル待ちが出るほど客席は満杯状態でした.

    いつもの事ながら,本当にここの劇場は綺麗で観やすい!

    芝居は二部構成.一部は韓国バージョン,二部が日本バージョン.


    以下はネタバレBOXに..

    ネタバレBOX

    ほんの2ヶ月月前に劇団虚仮華紙×劇団森 の「ノイロヲゼブウム」-虚仮華紙旗揚げ公演- を観たばかりだ.
    彼女らの物語はカフカの『変身』とサルトルの『嘔吐』が軸ということだったが、どちらかと言うとフランツ・カフカの色合いが濃い作品で、グレゴール・ザムザを主人公にした物語だった.

    大学生なのに素晴らしい舞台を作るものだと感激し感情のベクトルは最高潮に上がった記憶が今でも鮮明に残る.


    さてさて,そんな経緯もあり,今回もカフカの『変身』を公演するとの事だったのでひじょうに楽しみにしていた舞台だった.

    グレゴール・ザムザを主人公にした物語.

    ザムザは自分のサラリーで家族を養い妹を音楽学校に通わせる為に身を粉にして働くサラリーマンだった.
    ある日,気が付くとザムザは虫になっているのである.

    ザムザが虫になった途端,家族が彼を扱う態度が一変する.
    更に,ザムザから扶養して貰えないと理解した家族の皆がやる気になっているのである.

    家族からも職場からも存在価値のなくなってしまったザムザはやがて家族からも見放され,「あれは虫よ.お兄ちゃんなんかじゃあない!」と人間失格の烙印を押され,家族から不当な扱いを受けて死ぬのである.

    元々の小説はグレゴール・ザムザ自身が巨大な虫になったという妄想から始まるのだが,それを忠実に表現したのが,山田裕幸演出の韓国バージョンだ.

    ザムザが家族から罵倒されカラーボール(りんごの演出)を投げつけられるシーンはやはり,残酷以外の何物でもない.

    私達は毎日,会社で労働し,あるいは家族のために労働しそれにみあった報酬を稼ぐことで他人から必要とされる存在価値があるのだ!
    ...と示唆している.




    二部の日本バージョン.
    こちらは韓国バージョンと真逆の演出でひじょうに抽象的だ.
    だから,先に韓国バージョンを観ずにカフカの『変身』も読んでなかったら,おおよそ,理解できない舞台だ.

    『変身』の感覚的な部分を抽出して芸術的な表現を全面的に押し出した舞台だから,好き嫌いに分かれる芝居だ.

    以前,観た『あこがれ』は小説に沿って丁寧に丁寧に仕上げたような作品だった.
    舞台セットもレトロな和室と二階に上がる階段など,質素だが洗練されている香を感じさせた.

    今回は一変して,説明や背景をあえてカットしたのか,一本の木(鉄パイプ)が舞台の中央にあるだけだ.



    う~~ん..

    好みか好みでないかと問われると,日本バージョンはワタクシは好みでなかった.演出が.韓国バージョンのほうが好みだったのだ.

    前作『あこがれ』のような舞台演出を想像し,小説が舞台化された時のような丁寧な作りが観たかったのだった..



    ザムザが死んだ後,残された家族は明るい未来を考えちょっと幸せな気持ちになる.



    JangKyung-Minは
    「結局,変身というのは,とりえが無い人間の姿を優雅に描写することにすぎなく,仕事義務に押さえつけられて,変化して,去ってゆく.その一匹の虫は,私達現代人の姿であるといってもいいだろう.」
    とコメントする..



    いあいあ,人間とはどこまでも深いのである..






    2

    2008/08/24 10:19

    0

    0

  • おーじ>
    同感です。ワタクシもこの小説には奇異な感覚がありました。
    ただ、カフカの実際の家族との関わりは家族からうとまられ孤独だったのよ。
    ユダヤ人の家庭に生まれ、父へルマンとの確執と劣等感。
    好きな女性は何人か居たようだけれど、深く関わりあいになる事を躊躇し、自分から希薄な関係を望んでた傾向にあるの。だから、生涯独身だった。。
    だからといって女性との接触は全く無いわけではなくて濃密な手紙の交換はしていたの。。

    常に不安と孤独を漂わせる非現実的で幻想的な作品世界は、表現主義的とも言われる独特の不条理さに満ちているでしょう?

    それはまさにカフカそのものだと・・。思うの。

    そうして、カフカに強い影響を受けて書かれたのがサルトルの「嘔吐」なのよ。
    「嘔吐」も不条理に満ちてる。。

    日本版太宰治ね☆





    2008/08/24 22:35

    初めてこの作品を読んだ時、人間がある日突然虫になってしまうなんて何て奇抜な発想という驚きを感じたのをよく覚えています。
    おおよそ、自分がそれまで読んでいた物語では考えられない着想でしたし、とてもよく印象に残っています。

    その後、この物語は色んなことを示唆してるんだろうなぁ、なんて事も思いましたが、演劇で表現するのでしたら、ちょっとした匙加減で、随分違った作品になるのでしょうね・・。

    2008/08/24 17:30

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