変身 公演情報 変身」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★

    2つで一つ
    体がフワフワ浮いてしまった。
    メリハリと、間や空間、全てが計算された舞台。
    自分はこういうのがかなり好みだと、ハッキリ思った。

    2つで一つだと感じた舞台。
    日本の演出家が担当した舞台では具象、
    韓国の演出家が担当した舞台では抽象で描かれている。

    カフカの「変身」。
    こんなにも違ったものができるなんて。
    いい舞台を見せてもらった。

    ネタバレBOX

    日本の方が演出されている舞台を見てから韓国の方のを見ないと、
    本を読んだことのない人は分からないと思う。
    故に、この舞台は二つで一つ。

    日本の方の方は、役者の方の演技が可愛らしく、
    とっても素敵なものだった。
    とにかく分かりやすい。
    そして、カラーボールを林檎に見立てて投げるシーンでは、
    カラーボールという不安定なものを使ったことに関心。
    舞台に緊張感が生まれ、いいと思った。
    グレーゴルのダンスが、本当に上手かった!


    そして個人的には、韓国の方が演出された舞台に脱帽。
    変身しているのはグレーゴルなのか 家族の方なのか、
    分からなくなってくると感じた時に鳥肌が立った。

    役者の方の身体能力にも関心。
    うん、あんな感じの虫だと思ってた・・・。

    爆音と静寂のメリハリが絶妙で、林檎を弟が投げるとき、緊張の糸が切れる瞬間がすごい。
    途中、赤い糸を張っていって、それがラストに切られた時、
    「舞台と客席(日常)の堺は、これでなくなったのです」と言われてるみたいで
    とてもゾッとした。

    音も照明もセットもいい。
    ああう。もう一度見たい。
  • 久しぶりに
    みていて飽きることない舞台でした。身体がかなりすごかったです。
    日本の演出家と韓国の役者による『変身』、韓国の演出家と日本の役者による『変身』と同じ原作でも違う舞台となっていて演劇の無限性を感じられました。また一日に芝居を2本みた気分になれ、比較して楽しむこともできるお得な舞台だと思います。

  • 満足度★★★

    満員御礼!
    キャンセル待ちが出るほど客席は満杯状態でした.

    いつもの事ながら,本当にここの劇場は綺麗で観やすい!

    芝居は二部構成.一部は韓国バージョン,二部が日本バージョン.


    以下はネタバレBOXに..

    ネタバレBOX

    ほんの2ヶ月月前に劇団虚仮華紙×劇団森 の「ノイロヲゼブウム」-虚仮華紙旗揚げ公演- を観たばかりだ.
    彼女らの物語はカフカの『変身』とサルトルの『嘔吐』が軸ということだったが、どちらかと言うとフランツ・カフカの色合いが濃い作品で、グレゴール・ザムザを主人公にした物語だった.

    大学生なのに素晴らしい舞台を作るものだと感激し感情のベクトルは最高潮に上がった記憶が今でも鮮明に残る.


    さてさて,そんな経緯もあり,今回もカフカの『変身』を公演するとの事だったのでひじょうに楽しみにしていた舞台だった.

    グレゴール・ザムザを主人公にした物語.

    ザムザは自分のサラリーで家族を養い妹を音楽学校に通わせる為に身を粉にして働くサラリーマンだった.
    ある日,気が付くとザムザは虫になっているのである.

    ザムザが虫になった途端,家族が彼を扱う態度が一変する.
    更に,ザムザから扶養して貰えないと理解した家族の皆がやる気になっているのである.

    家族からも職場からも存在価値のなくなってしまったザムザはやがて家族からも見放され,「あれは虫よ.お兄ちゃんなんかじゃあない!」と人間失格の烙印を押され,家族から不当な扱いを受けて死ぬのである.

    元々の小説はグレゴール・ザムザ自身が巨大な虫になったという妄想から始まるのだが,それを忠実に表現したのが,山田裕幸演出の韓国バージョンだ.

    ザムザが家族から罵倒されカラーボール(りんごの演出)を投げつけられるシーンはやはり,残酷以外の何物でもない.

    私達は毎日,会社で労働し,あるいは家族のために労働しそれにみあった報酬を稼ぐことで他人から必要とされる存在価値があるのだ!
    ...と示唆している.




    二部の日本バージョン.
    こちらは韓国バージョンと真逆の演出でひじょうに抽象的だ.
    だから,先に韓国バージョンを観ずにカフカの『変身』も読んでなかったら,おおよそ,理解できない舞台だ.

    『変身』の感覚的な部分を抽出して芸術的な表現を全面的に押し出した舞台だから,好き嫌いに分かれる芝居だ.

    以前,観た『あこがれ』は小説に沿って丁寧に丁寧に仕上げたような作品だった.
    舞台セットもレトロな和室と二階に上がる階段など,質素だが洗練されている香を感じさせた.

    今回は一変して,説明や背景をあえてカットしたのか,一本の木(鉄パイプ)が舞台の中央にあるだけだ.



    う~~ん..

    好みか好みでないかと問われると,日本バージョンはワタクシは好みでなかった.演出が.韓国バージョンのほうが好みだったのだ.

    前作『あこがれ』のような舞台演出を想像し,小説が舞台化された時のような丁寧な作りが観たかったのだった..



    ザムザが死んだ後,残された家族は明るい未来を考えちょっと幸せな気持ちになる.



    JangKyung-Minは
    「結局,変身というのは,とりえが無い人間の姿を優雅に描写することにすぎなく,仕事義務に押さえつけられて,変化して,去ってゆく.その一匹の虫は,私達現代人の姿であるといってもいいだろう.」
    とコメントする..



    いあいあ,人間とはどこまでも深いのである..






このページのQRコードです。

拡大