満足度★★★★★
良い意味で、伝統
黒テントは、様々な著作でかつての活動については知っていたし、
『ショウボート昭和』というレコードでかつての公演の音楽は聞ていたが、
実際の舞台を観たのは初めて。
(佐藤信氏の鴎座は何度か拝見しているのだが)
黒テント特有の演技・演出がとても魅力的だった。
アングラ世代の一傾向として、
良い意味で「洗練されていない俳優の生身の良さ」というのがあると思うが、
それがとてもよく伝わってきた。
私は、本来、ミュージカル的なものは苦手なのだが(観ていて恥ずかしくなるから)、
この公演はその洗練されていない雑然とした風味により、
恥ずかしい感じはせずに楽しめた。
作品自体の満足度は☆4。
他の評者が皆✩5で絶賛しているので、厳しいことも書くけれど、
全体を通して平均的にとても面白かったが、
とびぬけてこの点に圧倒されたという部分は無かった。
ただ、黒テントの伝統(60~70年代の演劇が持っていた魅力)がきちんと継承されているということが感じられたので、その点に敬意を払い✩5。