満足度★★
ハッタリと、笑いの技術
今は消えてしまったけど、昔、早稲田の文学部の受験科目には、小論文があった。慶応の小論文が、「要約」という、「精緻な読み」を機械的に求めるのに対して、早稲田の小論文は、問題文が一行くらい。「この文章をもとに、考えたことを書きなさい」とかいう、すごくアバウトな、人間味あふれる、いいかげんなもの。歴史ある形式だったが、採点が不可能な感じで、数字が求められる時代の中に、あだ花と消えた。
当時、予備校は、「早稲田の小論文は、バカにならないと書けない。ハッタリをどれだけかませらるかが勝負」と教えていた。
たすいちのチラシには、「舞台という虚構の中で、屁理屈で理屈を通す、大人も子供も楽しめるファンタジー」とあるけど、感想としては、理屈はどこにもなかった。屁理屈が、屁理屈のまま、説得力なく、しぼんでいった。
それは、でも、とてもすがすがしくて、僕は、楽しんだ。ハッタリが効いていて、しぼむとこまで含めて、ああ、早稲田だなぁ、と思った。