満足度★★★★
構成・演出に、あの二人
古典落語を下敷きにトンデモナイ夫婦の顛末を見せる、イエドロの落語第二弾。
コーディネーター林勇輔さんの構成と、映像を上手く使った演出が秀逸。
あの殺風景な空間が江戸の貧乏長屋になり、寂しい峠の道になり、
あの世との境になるために、
番傘に映写される映像や巧みな照明の効果が重要な役割を果たしている。
怠け者でろくに仕事もしない亭主(さひがしジュンペイ)と
女房(わかばやしめぐみ)のやり取りがテンポよくて勢いがあって可笑しい。
9月の「黄金のコメディフェスティバル」で最優秀俳優賞を受賞したわかばやしめぐみさんの
素晴らしいコメディエンヌぶりが印象的。
さひがしさんがここでは主軸となって、その周りをわかばやしさんが自在に回る感じ。
わかばやしさん、特に死神が女房に憑依した場面での切り替えと演じ分けが見事だった。
どこか厳かな死神と下世話な女房の対比が素晴らしく鮮やか。
さひがしさん、ラスト「あ~…」という残念な理由で死んでしまうところが情けなくて可笑しい。
江戸弁の威勢の良さが物語をけん引するあたり、シリーズが板についてきた証拠だと思う。
おぼんろとは全く違ったテイストが共存する両氏のセンスは貴重だ。
それにしてもなんと息の合ったコンビだろう。
台詞といい歌といい、次はどんなことをしてくれるだろうと楽しみになる。