満足度★★★★★
世相の怖さを的確にすくい取った秀作
やっぱり刈馬さんの脚本は緻密ですね。登場人物達の隠された背景と内に秘める心情の謎解きがコメディも交えながら進むサスペンスを楽しませてもらいました。
サスペンス的な進行が基調なのは共通しますが、「76をめぐる暴言」ほどの猟奇感は表面上はないので、一般に受け入れやすいものに仕上がっていると思います。ただ、よくよく考えれば、たった1作で長期にあれほど入れ込む女性が4人もいて、それが如何にも不自然に見えない(実際にいそう)あたり、今の世の中も相当尋常じゃない・・・。本作も現代の世相の怖さを的確にすくい取った秀作と思います。
なお、今回は美術も度肝を抜かれて、舞台全面に吊るされる千羽鶴が全ての登場人物の積み重ねた辛さと苦労と想いを良く表現していました。