満足度★★★★
広田戯曲としては異色?
様々な出自の面々で構成された詐欺集団がその1人のメンバー宅に居候することで織り成される物語。
広田戯曲では珍しく基本設定の「架空度」が低く、まさにイマの日本の物語、特徴的なムーブメントを封印した(?)こともあり、リアリティがある。
広田さんは執筆にあたり詐欺グループのルポルタージュやドキュメンタリーで研究されたとのことで、それぞれのバックグラウンドや言い分の説得力たるや…。
そんな「グループ」と「家族」の対比を鮮やかに見せておいての「5日目」の前の空間構成が見事。
場を終えた役者が舞台上の各地に動きを止めてとどまるのはあたかも「これで駒は出揃いました、ここからは収束に向かいます」と宣言するようでアクセントとして印象深い。
あと、終盤のタイトルと密接に関わる展開になったあたりの語り口(台詞回しから「カット割」的なもの、物語の流れまで含む)は、いかにも広田作品、という感じだったなぁ。
もちろんそこだけではなくモノローグの入れ方とかそういうものもそうなんだが。
さすがに「長さを感じない」とはならないが、冗長などという単語とは無縁、内容相応の上演時間に思えた。